▲ネットフリックスの新バラエティー番組『性+人物』に登場するお笑いタレントのシン・ドンヨプ(写真右)と日本のAV女優。/写真=ネットフリックス
「しみけん」「つぼみ」「めぐり」…
私には全く分からないが、私の友人らは皆分かるこの名前は、日本のAV男優・女優らだ。韓国ではAVは違法。闇ルートでつてを頼って探してみた動画に登場する素肌の俳優たちが、今ではきちんと服を着こみ、ユーチューブなどを通して韓国国内の視聴者を攻略しつつある。「みだらな仕事」「道徳観念に有害」という一部の批判にもかかわらず、AV俳優らの活動は連日拡大する勢いだ。日陰から..
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▲ネットフリックスの新バラエティー番組『性+人物』に登場するお笑いタレントのシン・ドンヨプ(写真右)と日本のAV女優。/写真=ネットフリックス
「しみけん」「つぼみ」「めぐり」…
私には全く分からないが、私の友人らは皆分かるこの名前は、日本のAV男優・女優らだ。韓国ではAVは違法。闇ルートでつてを頼って探してみた動画に登場する素肌の俳優たちが、今ではきちんと服を着こみ、ユーチューブなどを通して韓国国内の視聴者を攻略しつつある。「みだらな仕事」「道徳観念に有害」という一部の批判にもかかわらず、AV俳優らの活動は連日拡大する勢いだ。日陰から表舞台へ。
■オンライン「性進国」の外交大使
その始祖は男優の「しみけん」(44)。26年間で1万本以上のAVに出演した伝説的といえる人物で、AV男優として初めて、2019年に朝鮮日報紙コラムのワイドインタビュー記事に登場し、読者に深い印象を残してもいる。同年、ユーチューブに韓国向けのチャンネル「しみけんTV」を開設し、現場での経験に基づいた幅広い性知識で若い世代からの全幅の人気を確保している。「健康な成人式のための情報を共有する」という、このユーチューブチャンネルのフォロワー数は71万人。今では、「しみけん」という名前にちなんだ「シム・イクヒョン(シミッキョン)」という韓国名で、一段とよく目にするようになった。
高い認知度は広告の渉外につながっている。タンパク質補助食品、モバイルゲームなどに続き、最近では衣類ブランドとのコラボレーションも進めた。4月16日にも、ソウル・弘大前の街角で通りすがりの人と即席で交渉して一緒に遊び歩く動画をアップロードするなど、しみけんは親韓のイメージを確固たるものにしている。この成功は他のAV俳優を刺激し始めた。
■再生数は保証付き…韓国芸能人も「うちのチャンネルへいらっしゃい」
百永さりな、高杉麻里などの女優が、彼の後に続いて韓国行きのユーチューブ列車に乗り込んだ。小倉由菜(24)の場合、口コミだけでフォロワーが46万人を超えた。同僚俳優を招いて対話を交わしたり、成人業界の気になるところについて答えてあげたりするなどの短いトーク動画がほとんどだ。コメントの中には「(AVを)長い間違法に見てきたんだから、代金を払うつもりでフォローしよう」という反応が多い。堂々と姿を現しはしないものの匿名で強大な火力を上乗せする「シャイな支持層」のおかげで、確実な再生数を確保しているのだ。
すると、韓国の芸能人らも「お供競争」に身を投じた。今年3月、歌手でタレントのタク・チェフンは、自身が進行役を務めるユーチューブのチャンネルに小倉由菜を招待し、トークショーを進めた。わずか1カ月で実に600万もの累積再生数を記録した。「タク・チェフンと小倉由菜が合作するのを見るなんて、これまで生きてきた中で初めて。時代は本当に変わった」というような、およそ1万のコメントが付いた。流ちょうな韓国語の実力を基に、小倉由菜はアクションゲーム『龍が如く』シリーズの広報大使にも起用され、韓国の人気お笑いタレント「タナカ」(キム・ギョンウク)とオフラインイベントを開催するなど、活動の幅を広げている。
■ネットフリックスにまで登場
お笑いタレントのシン・ドンヨプと歌手ソン・シギョンが司会を務め、AV俳優らと濃密な対話を交わす新バラエティー『性+人物』が、4月25日からネットフリックスで配信されている。19禁のトークショーバラエティー『魔女狩り』の演出陣が制作を担当し「普段から気になっていたけど未知の領域だった『成人文化産業』の人物を探求するトークショー」との説明だ。しみけんや相沢みなみなど、有名AV俳優が出演陣に名を連ねた。
日本のAV監督の一代記を描いたドラマ『全裸監督』が2021年からネットフリックスで配信されてはいるが、韓国の有名芸能人が合流して日本の性風俗を紹介する正式なテレビ番組が制作されるのは今回が初めて。日本国内の韓流ブームに後押しされて、韓国語に堪能な親韓派AV俳優らが増えており、こうした人々の韓半島進出は一層加速するものとみられる。
■刺激性にばかり没頭…一線を越えた?
批判も沸騰している。AV俳優らの活動領域拡大により、場合によってはわいせつ性に対する社会的許容値が過度に緩みかねないという懸念だ。実際、3年前にしみけんが韓国国内のゲーム広告に出演したとき、青瓦台(当時の韓国大統領府)の国民請願掲示板に「日本のAV俳優の韓国広告禁止を請願します」という書き込みがなされたこともある。「日本のようにポルノ制作が合法化された国でも、AV俳優をテレビCMに起用するというのは類例がない」「大人はもちろん青少年の性価値観にも大きな影響を与えかねない」というのが請願の理由だった。大衆文化評論家のキム・ホンシク氏は「新たな話題の糸口を投げかけることができず、末梢的な話題性にばかり没頭しているのを考えると、人気の持続期間は長くないだろう」と語った。
チョン・サンヒョク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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