うわさはいろいろあったが、結局なにも現実にはならなかった。サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会のグループリーグ、韓国対ガーナ戦で2ゴールを決めた韓国代表FWチョ・ギュソン=全北現代モータース=は結局、海外進出を果たせず、全北のスペイン・キャンプに参加した。冬の移籍市場は今月末までなので、まだ可能性が完全に消えたわけではないが、マインツ=ドイツ=やセルティック=スコットランド=など複数の欧..
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うわさはいろいろあったが、結局なにも現実にはならなかった。サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会のグループリーグ、韓国対ガーナ戦で2ゴールを決めた韓国代表FWチョ・ギュソン=全北現代モータース=は結局、海外進出を果たせず、全北のスペイン・キャンプに参加した。冬の移籍市場は今月末までなので、まだ可能性が完全に消えたわけではないが、マインツ=ドイツ=やセルティック=スコットランド=など複数の欧州のチームがチョ・ギュソンに「ラブコール」を次々と送ったのにもかかわらず、全北側は「チョ・ギュソンは夏の移籍市場で海外進出を狙う方向で気持ちを固めた」と伝えた。欧州はリーグの真っ最中であり、カタールW杯後にオフを過ごしているチョ・ギュソンが適応するのは難しいかもしれないというのが理由だ。
欧州のチームが新たなシーズンに備える夏に行ってこそ、チームメートたちと呼吸を合わせる時間が多くなるのは事実だ。だが、こうした事実はチョ・ギュソンもチームも当初から分かっていた上で移籍を準備したはずだ。マインツとセルティックはチョ・ギュソンの入団に前向きで、最低40億ウォン(約4億1500万円)などと具体的な金額が公開されるほど話が進んでいた。ところが、全北は欧州チームのオファーを受け入れなかった。全北は「選手の意思を尊重した」と言っているが、ファンは「残留説得に重点を置いたのではないか」と疑っている。マインツは「高すぎる」とコメントした。
Kリーグ王座奪還を狙う全北としては昨シーズン17ゴールで得点王になったチョ・ギュソンが必要だ。しかし、チョ・ギュソンのような若い選手たちが海外で経験を積むのは、個人の成長にも韓国サッカーの競争力のためにも重要なことだ。選手たちは欧州の舞台でトップクラスの選手たちとプレーする経験をしてはじめて実力が伸び、自信も増す。今は12年ぶりのW杯ベスト16入りを忘れ、2026年の北中米W杯の準備をすべき時だ。
カタールW杯でドイツやスペインに勝ち、旋風を巻き起こした日本は、選手たちの海外進出を積極的に奨励している。2020年にドイツ・デュッセルドルフに欧州事務所を構え、自国の選手たちがトレーニングやリハビリをするスペースも提供している。カタールW杯の時、日本代表は26人中19人が欧州組だった。日本代表の南野拓実=ASモナコ=は「外国の選手たちと対戦するのを恐れる日本の選手はいない」と言った。
韓国は、体系的な海外キャンプもない実情で、少なくとも水があるうちに船をこがなければならないのではないだろうか。W杯のヒーローがより大きな舞台に挑戦するのは、次のW杯に備える時に掛ける最初のボタンだ。チョ・ギュソンは「いろいろなチームが移籍をオファーしてくれたが、夏になったら僕を必要としなくなるかもしれないし、夏までに契約金などが下がるかもしれない」と不安を見せた。結局、チョ・ギュソンは「W杯でプレミアが付いている時期」を逃す恐れが高い。今回の移籍騒動は単にチョ・ギュソンという一選手のチャンスを逃しただけでは終わらない。目の前の利益とチームの成績ばかりを優先し、選手の将来に投資しようという認識がない限り、韓国人選手が海外進出のチャンスをつかむのは容易ではないだろう。
キム・ミンギ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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