▲公安弾圧阻止および民主守護済州対策委員会は12日午後、済州の国家情報院前で記者会見を開いた。横断幕には「政権危機脱出用の公安事件でっち上げ糾弾と虚偽事実流布中断要求記者会見」と書かれている/NEWSIS
スパイ組織の疑いがある地下組織を捜査している韓国スパイ防止当局が15日までに、慶尚南道昌原市、晋州市の「自主統一民衆前衛」と済州道の「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」がいずれも北朝鮮対南工作組織である朝鮮労働党傘下の文化交流局に所属する工作員キム・ミョンソン氏から指令を受けていたことを示す手がかりを確保したことが分かった。スパイ防止当局は、北朝鮮が工作員1人を通じ、異なる地域に2つの地下組織を次々と構..
続き読む
▲公安弾圧阻止および民主守護済州対策委員会は12日午後、済州の国家情報院前で記者会見を開いた。横断幕には「政権危機脱出用の公安事件でっち上げ糾弾と虚偽事実流布中断要求記者会見」と書かれている/NEWSIS
スパイ組織の疑いがある地下組織を捜査している韓国スパイ防止当局が15日までに、慶尚南道昌原市、晋州市の「自主統一民衆前衛」と済州道の「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」がいずれも北朝鮮対南工作組織である朝鮮労働党傘下の文化交流局に所属する工作員キム・ミョンソン氏から指令を受けていたことを示す手がかりを確保したことが分かった。スパイ防止当局は、北朝鮮が工作員1人を通じ、異なる地域に2つの地下組織を次々と構築し、連携活動を企てた可能性があるとみて、捜査を拡大している。
本紙の取材を総合すると、軍需産業が密集する昌原・晋州に拠点を置く「自主統一民衆前衛」は2016年からカンボジアなど東南アジアで北朝鮮の工作員キム・ミョンソン氏と接触していたという。旧統合進歩党系である進歩党の済州道党委員長出身のK氏が主軸になった「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」も17年から同様の方式でキム・ミョンソン氏と接触したとされる。その後、両地下組織はキム・ミョンソン氏から「反米闘争」「全国民主労働組合総連盟(民主労総)などへの浸透と掌握および勢力拡大」「尹錫悦糾弾」などの指令を受けて活動した形跡があるという。
北朝鮮の工作員のキム・ミョンソン氏が所属する文化交流局は、北朝鮮の政権初期から対外連絡部、社会文化部、225局などと名前を変え、スパイの韓国への派遣など対南工作任務を遂行してきた。21年9月、国家保安法違反の罪で起訴された「自主統一忠北同志会」も17年から文化交流局所属の工作員C氏とL氏から指令を受けて活動していたことが判明した。
このため、スパイ防止当局は、北朝鮮の文化交流局が長期計画に従い、「自主統一民衆前衛」「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」「自主統一忠北同志会」などの地下組織を韓国各地で運営していたとみて調べている。北朝鮮は二つ以上のスパイ組織を稼働させる際、組織同士が互いを知らない形で上部からそれぞれ指揮する方式を主に用いる。
スパイ防止当局は北朝鮮の指令を受けて活動した疑いが持たれる「自主統一民衆前衛」と「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」などを数年間追跡してきた。その過程で「自主統一民衆前衛」のメンバーが摘発を避けるための対策を議論した形跡が見つかったという。メンバーは「RO(Revolutionary Organization・革命組織)が摘発されたのはセキュリティールールをきちんと守らなかったためだ」「発覚したらUSBメモリーを壊して飲み込め」などという言葉を交わしていた。
メンバーらが言及した「RO」は李石基(イ・ソッキ)元統合進歩党議員が中心となり地下革命組織を結成後、内乱扇動、国家保安法違反活動を行った事件だ。この事件で李元議員は15年1月、懲役9年の判決が確定したが、文在寅(ムン・ジェイン)政権下の21年12月、刑期を1年5カ月残して仮釈放された。ただ、スパイ防止当局は「自主統一民衆前衛」について、主思派(主体思想派)系列の「京畿東部連合」出身者が中心となった李石基元議員の事件とは直接関連がないとみているという。
スパイ防止当局は「自主統一民衆前衛」が主に昌原・晋州を中心に活動しながら他地域に「勢力拡張」を試みたとみている。民主労総、全国農民会総連盟(全農)などに浸透し、若い世代の教育も行い、活動領域を広げろという北朝鮮の指令を受けて実行したという。「自主統一民衆前衛」がソウルなど首都圏に勢力を広げようとしていたことについても当局が追跡中だ。済州の「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」も北朝鮮から民主労総傘下の済州4・3統一委員会を掌握することなどの指令を受けていたという。
スパイ防止当局は「自主統一民衆前衛」で活動した慶南進歩連合所属のA氏、統一村メンバーなど5人を国家保安法が定める会合・通信の疑いなどで捜査しているという。「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」で活動した進歩党済州道党委員長出身のK氏など3人にも同じ容疑を適用して調べている。スパイ防止当局は、「自主統一民衆前衛」と「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」がいずれも北朝鮮から指令だけでなく資金も受け取っていたことをつかみ、解明を進めている。
捜査対象者は年齢層が主に50-60代であり、供述を拒否しているという。しかし、スパイ防止当局は北朝鮮による指令文など容疑を立証可能な物証などを多数確保したという。 「自主統一民衆前衛」と「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」が捜査を避けるために暗号化プログラム「ステガノグラフィー(Steganography)」、「サイバードボーク(Cyber Dvoke)」などを活用し、北朝鮮文化交流局の指令を受け、実行内容を北朝鮮に報告していた形跡も発見したという。
「自主統一民衆前衛」と「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」の活動と捜査への対処方式は21年9月、国家保安法違反疑惑で起訴された「自主統一忠北同志会」と共通点が多い。忠北同志会も北朝鮮文化交流局の指令を受け、ステガノグラフィーを使用し、スパイ防止当局による捜査過程では黙秘権を行使した。
スパイ防止当局は「自主統一民衆前衛」「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」関係者に対する追加捜査を行った後、逮捕状を請求する方針だ。 現在「自主統一民衆前衛」事件はソウル中央地検が、「ヒウッ・キヨック・ヒウッ」事件は済州地検がそれぞれ捜査を指揮している。捜査状況によっては、ソウル中央地検が両事件を統合指揮する可能性もある。
キム・ジョンファン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com