最近中国ではこれまで需要がなく操業を中断していた国営半導体メーカーに突然受注が舞い込み、生産を再開する例が相次いでいる。今年初めまでは廃墟状態だったが、再び稼働を開始した福建省厦門(アモイ)市、泉州市の半導体工場もそうして復活した。中国のIT企業さえ存在を無視していた国営半導体メーカーに大規模な発注を行う救世主が現れたのだ。
救世主はほかでもない通信機器大手の華為(ファーウェイ)だ。米国の制裁で..
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最近中国ではこれまで需要がなく操業を中断していた国営半導体メーカーに突然受注が舞い込み、生産を再開する例が相次いでいる。今年初めまでは廃墟状態だったが、再び稼働を開始した福建省厦門(アモイ)市、泉州市の半導体工場もそうして復活した。中国のIT企業さえ存在を無視していた国営半導体メーカーに大規模な発注を行う救世主が現れたのだ。
救世主はほかでもない通信機器大手の華為(ファーウェイ)だ。米国の制裁で海外から半導体を調達することも、独自設計した半導体を海外のファウンドリー(受託生産業者)に任せて生産することも難しくなったファーウェイが、自国の半導体メーカーを通じた半導体生産を本格化しているのだ。日本経済新聞は北京、武漢、青島から深センに至るまで仕事がなかった各地の半導体メーカーを復活させるのに華為が投入した資金を558億ドル(約7兆6500億円)と試算した。華為としては米国の技術や設備を使わない独自のサプライチェーンをつくる以外に活路がなかった。
華為が生き残りのための半導体ゲリラ戦を繰り広げている間も米国の中国半導体業界に対する打撃は止まらなかった。バイデン政権は今年10月、14ナノメートル以下(NAND型フラッシュメモリーは128段以上)の先端半導体の製造技術と設備、人材の対中輸出を全面禁止した。中国に進出した米半導体企業は一夜にして中国を離れ、中国企業が雇用した米国の半導体技術者も全員が撤収した。砲声が聞こえない半導体の戦場で「21世紀版のダンケルク大脱出」が繰り広げられ、中国半導体メーカー全てが華為と同じ境遇になったのだ。
こうした状況が逆説的に中国政府がこれまでいくら努力しても不可能だったことを可能にしている。先端半導体を作らなければならないという以前にはなかった切迫感が生まれたのだ。中国政府は14年以降、半導体産業の育成に1兆2000億元(約23兆5000億円)をつぎ込んでいる。だが巨額の資金をばらまいてもつくり出せなかったのが中国製半導体に対する需要だった。外国製の優れた半導体を買えるのに、敢えて低品質の中国製を買おうとする企業がなかったためだ。今は自ら作って消費しなければならない状況となったのだ。
最も象徴的な変化が中国最大の半導体企業、中芯国際集成電路製造(SMIC)が米国の技術、装備を使わない生産ラインを作ったことだ。「Non A」と呼ばれるこのラインでは、直ちに回路線幅40ナノメートルのロースペックの半導体を作ることができ、2年後には28ナノメートルまで微細化を進めることが目標だ。アップルのiPhone用半導体の回路線幅が4ナノメートルであることを考えると、道のりははるか遠く、それもオランダのASML、日本のキヤノンなど米国以外の装備メーカーが引き続き設備を提供しなければ生産が不可能」な状況だ。 しかし、SMICの試みは先端半導体の独自生産に向けた本当の第一歩といえる。
当面全世界は台湾積体電路製造(TSMC)、サムスン、インテルなどが作る先端半導体を使う国々と古い国産半導体を使う中国に分かれるだろう。iPhoneとテスラを購入できる中国の富裕層とは異なり、それほどの購買力がない普通の中国人は10-20年遅れの国産品を使わなければならない。数億人に上る彼らのおかげで、中国の半導体メーカーも持ちこたえることができ、技術力を蓄積するだろう。
しかし、日本と欧州の合計の1.5倍を超える人口を持つ中国でもグローバルサプライチェーンとは接点がない独自の半導体サプライチェーンを構築することは不可能だ。しかも、先端半導体なしには米国を追い抜くという目標の達成どころか産業全般の後退が避けられない。中国が結局は自分たちの資源と市場をテコに米国と妥協し、グローバルサプライチェーンを再び揺るがすとみられているのもそのためだ。そのころの中国半導体市場は中国企業がシェアを拡大した後である可能性が高い。中国の半導体危機は韓国にとって決して対岸の火事ではない。
李吉星(イ・ギルソン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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