フランス大革命が旧体制廃止を旗印に掲げると、フランスの女性たちは大喜びで「女性がズボンをはくことも許そう」という運動を行った。だが、革命政府は反対した。「女性はスカートをはく伝統に従わなければならない」とし、ズボンをはく場合は警察の許可を受けるように、という法を作った。1800年11月に作られたこの法は死文化された後もずっと残っていたが、2013年に正式に廃止された。因習をなくすのがどれほど難し..
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フランス大革命が旧体制廃止を旗印に掲げると、フランスの女性たちは大喜びで「女性がズボンをはくことも許そう」という運動を行った。だが、革命政府は反対した。「女性はスカートをはく伝統に従わなければならない」とし、ズボンをはく場合は警察の許可を受けるように、という法を作った。1800年11月に作られたこの法は死文化された後もずっと残っていたが、2013年に正式に廃止された。因習をなくすのがどれほど難しいかを示す事例だ。
アルバニアの小説家のイスマイル・カダレは、伝統が時代の変化に応じて変わることなく、因習で凝り固まれば、人間の魂さえもむしばむと警告し、そうした思いを小説『砕かれた四月』に書いた。アルバニアには家族が流した血には血で報復するという復讐(ふくしゅう)の習慣がある。この因習に陥った小説の中の村は、報復の悪循環の中で崩壊の危機に直面する。同地域のこうした因習はまだなくなっていない。
中南米のアステカの人々は16世紀まで人身御供の因習を続けた。「花戦争」だとして周辺部族に攻め入って捕虜を捕まえ、太陽神にいけにえとしてささげた後、食べた。スペイン人の征服者エルナン・コルテスが新大陸になかった食用豚をヨーロッパから持ち込むと、やっとその因習はなくなったという。アフガニスタンのタリバンは伝統にこだわるという美名の下、現代の世界でも文明の時計を逆回転させている。女性の学習権を奪い、産婦人科の女性医師が子どもを取り上げる時でさえ、ブルカをかぶらせる。
ほかの国の人々の目には、韓国が世界にない、誠に稀有(けう)な年齢計算法にこだわっていることも、こうした因習の一つに見えるようだ。新年1月1日になると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では「韓国人の皆さん、お誕生日おめでとうございます」という冗談めかしたあいさつが飛び交う。韓国人5200万人が同じ日の同じ時間に1歳年を取るという驚くべき出来事が起こるのだ。12月31日に生まれた子どもは次の日に2歳になる。それでもこの非合理を直すことなく、固執してきた。韓国人は日常生活で普段、西暦だけを使っているのに、「1月1日」だけはあえて旧暦で見るのも奇妙だという。
次期政権への移行を準備する大統領職引き継ぎ委員会が年齢計算法を満年齢で統一する案を推進することを11日、明らかにした。賃金ピーク制の基準が56歳と規定されている企業で、基準年齢が満年齢か韓国式の数え年なのかをめぐって、最近労使間で法的闘争が繰り広げられている。こうしたことが多いため、混乱を減らし、非効率性を取り除こうという趣旨だそうだ。年齢とは人が生まれた後に流れる時間を意味するものだ。生まれてから何年何カ月になったかを言うのが合理的だろう。翌日に2歳になるという非合理性の一つを正すことに大統領職引き継ぎ委員会まで腰を上げなければならないのを見ると、韓国人の因習に対する固執も大したものだ。
金泰勲(キム・テフン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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