韓国気象庁では1923年からツバメを韓国における春到来の指標にしてきたが、99年ぶりに別の種に変更されることになりそうだ。ツバメは昔から韓半島(朝鮮半島)で春を象徴してきた動物だ。しかし、南に渡っていたツバメが気候変動により5-6月ごろにならないと韓国に戻ってこなくなったことから、春という季節を代表する象徴性に欠けるとの指摘が相次いでいた。しかも、都市化により生息地域がなくなり、ソウルではこの1..
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韓国気象庁では1923年からツバメを韓国における春到来の指標にしてきたが、99年ぶりに別の種に変更されることになりそうだ。ツバメは昔から韓半島(朝鮮半島)で春を象徴してきた動物だ。しかし、南に渡っていたツバメが気候変動により5-6月ごろにならないと韓国に戻ってこなくなったことから、春という季節を代表する象徴性に欠けるとの指摘が相次いでいた。しかも、都市化により生息地域がなくなり、ソウルではこの15年間、ツバメが観測されていない。
気象庁が2日に明らかにしたところによると、同庁は最近、「春の季節観測指標」改正を検討しており、国立生態院や国立樹木園などと共にツバメに代わる動物を探しているという。気象庁は1923年から各季節を代表する動植物を「季節観測生物」に指定し、全国の気象観測所を通じて該当の動植物が初めて発見される日時を記録、韓半島に現れている気候変動の研究資料として利用している。この記録を通じて、韓半島の春が毎年どれだけ早くなったり、春の期間が短くなったりしているかなどを把握してきた。
現行の気象庁季節観測指針は2016年に修正され、現在まで適用されている。春の指標として登録されている動植物は全10種で、このうち動物はツバメ・カッコウ・チョウの3種だ。特に、ツバメは毎年9月に韓国を離れ、翌年3月ごろに同じ繁殖地に戻る帰巣本能が強く、「カレンダーよりも正確な春の指標」と言われていた。
かつてツバメは中国の揚子江以南の地域に滞在し、3月ごろになると韓国に飛来していた。ところが、ツバメが韓半島に戻る時期は年を追うごとに遅くなってきている。梨花女子大学のイ・サンドン教授は「ツバメなどの渡り鳥は地球温暖化により気温や季節の変化に鈍感になってきていて、時には生息地の移動ができないという現象も発生している」と話す。韓国における春の平均気温は1923年の10.8℃から昨年は12.8℃へと2℃上昇、ツバメが韓半島に来る時期は1923年に比べて45-60日ほど遅くなっている。ツバメは今や春と夏の間のあいまいな時期に韓半島を訪れる渡り鳥になったということだ。
また、大都市ではツバメを見かけることが難しくなっている。専門家らはその理由として、都市化により農耕地が減り、現代式の建物が増え、ツバメが巣を作れる空間が消えたことを挙げている。国立山林科学院の関係者は「韓国はもはやツバメの生息に適した環境ではなくなった」と言った。気象庁ソウル観測所では、2007年以降にツバメが公式に観測された記録がない。国立生物資源館が2020年に発表した野生動物実態調査によると、最近20年間に全国で観測されたツバメの数は1平方キロメートル当たり37羽から31.4羽へと約15%減っている。
はっきりしていた四季の変わり目が気候変動によって徐々にあいまいになり、各季節の到来時期や期間の長さなどに大きな変化が生じていることから、気象庁が選ぶ季節観測生物の重要性はさらに高まっている。ツバメに代わる春の指標の候補として現在まで取りざたされている動物は、韓国全域でよく見られる留鳥のシジュウカラ、スズメ、ヒバリなどだ。渡り鳥よりも、韓半島に四季を通じてとどまっている留鳥の産卵・ふ化時期などを分析すれば、春の観測おいてより正確な資料になるということだ。気象庁はツバメを春の指標としてそのまま残し、ほかの動物を追加して種の数を多様化する案も検討している。気象庁関係者は「国策研究機関や学界の意見を集約し、新たな季節観測指標を近いうちに作る予定だ」と話している。
パク・サンヒョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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