韓国のある出版社が発刊した独学士の教養国語教材に「訓民正音は漢字の発音記号であり、韓国語を表記することとは何の関係もない」という内容が盛り込まれていることが分かり、議論を呼んでいる。独学士とは、大学検定試験の独学学位制で取得できる学位だ。
教材は「訓民正音は高麗時代から使われてきた諺文(おんもん、ハングル)」とし「中国に頒布された」と述べた。歴史歪曲(わいきょく)論議が巻き起こると、出版社側は「..
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韓国のある出版社が発刊した独学士の教養国語教材に「訓民正音は漢字の発音記号であり、韓国語を表記することとは何の関係もない」という内容が盛り込まれていることが分かり、議論を呼んでいる。独学士とは、大学検定試験の独学学位制で取得できる学位だ。
教材は「訓民正音は高麗時代から使われてきた諺文(おんもん、ハングル)」とし「中国に頒布された」と述べた。歴史歪曲(わいきょく)論議が巻き起こると、出版社側は「購入した書籍は無償交換および払い戻し補償をし、在庫分はすべて廃棄する」と謝罪した。
10月17日、あるオンライン・コミュニティーに「訓民正音の歴史を歪曲した出版社の通報後記」というタイトルの書き込みが掲載された。作成者のA氏は、最近議論になっている例の出版社を「国民申聞鼓(オンライン請願窓口)」に通報し、その結果を受け取った、と書き込んだ。
■教材の中身は荒唐無稽『訓民正音は漢字の発音記号、中国に頒布』…出版社は即刻謝罪
議論は10日、あるネットユーザーが出版社S社の独学士の教養国語教材に「訓民正音に関するおかしな内容を見た」という書き込みを掲載したことから始まった。このネットユーザーが掲載した写真によると、同教材は「訓民正音と漢字の関係」について説明し「訓民正音は漢字の発音記号」と説明している。
次いで「訓民正音は中国語(文字)を統一するために作られた」とし「韓国語を表記することと何の関係もない」と述べた。さらに「文字(漢字)の発音を分かりやすく表記することで子音を定立し、中国語を統一するのが訓民正音の目的」と付け加えた。
説明はこれで終わらない。教材は「訓民正音は諺文(ハングル)で作られた。現在ハングルと呼んでいるのは諺文」と主張した。それとともに「諺文は少なくとも高麗時代から使われてきた」と述べた。また「訓民正音は中国に頒布された」とし「吏読(りとう、漢字による韓国語表記法)の代わりに使用され、漢文書籍を諺解(漢文をハングルで解釈する)、漢字の発音を表記するなど、三つの政策を全て中国で施行した」と説明した。
論議が拡大すると、当時S社は過ちを認め「該当図書の販売を直ちに中断する」と謝罪文をホームページに公開した。また「在庫図書は全て廃棄し、当該書籍で学習中の読者には修正した書籍と無償交換、および返金補償する」と述べた。
■腹を立てたネットユーザーが行動に…「一種の東北工程」と主張も
こうした状況を目の当たりにしたAさんは「最近韓国文化のあちこちで東北工程(中国による中国東北部の歴史研究で、高句麗や渤海などを中国の地方政権とするなど)が行われている」とし「深刻さを伝えるために、わざわざ外交部(日本の省に相当、以下同じ)に通報した」と、背景を明らかにした。同通報は、独学学位制を担当する教育部傘下の国家生涯教育振興院に移され検討が進められた。
Aさんが添付した国民申聞鼓の検討結果によると、振興院は「民間出版社から発刊された特定教材の歴史歪曲に深い遺憾の意を表する」と明らかにした。ただし「民間出版社を管理・監督する権限がない」とした上で「通報内容は極めて深刻で、当該出版社に深刻な懸念を伝え、処理結果を確認、伝達した」と述べた。
これとともに「該当出版社は来週(10月第4週)中に再出版した教材を発刊する」とし「出版社の謝罪文通り処理され、再発防止に向け努力するという内容を受け取った」とした。
これを見たネットユーザーたちは「独学士が何なのか分からないが、歴史歪曲に対して敏感に反応する人が多くて良かった」「最初に教材を作成した人を公開すべきだ」「偽りのニュースだけを指摘してばかりもいられない」「現時点(16日)で謝罪文が見当たらない」「一部国家が主張する歴史歪曲は国家レベルで防がなければならない」などの反応を示した。
また、他のインターネットユーザーも出版社、国家生涯教育振興院をはじめ、国史編さん委員会などに「歴史歪曲を阻止すべき」とする趣旨の請願を申請したという。
■振興院・文体部「あらかじめ確認する法的権限はない」
今回の歴史歪曲論議に関して、振興院と文化体育観光部は、教材内容を事前に検討する法的権限がないとし、再発の可能性を指摘した。
文体部の関係者は「出版文化産業振興法により有害刊行物とは、国家体制転覆活動の鼓舞、わいせつな内容、暴力などに制限された」とし「今回の件は荒唐無稽な内容だが、事前に検討し法的制裁を下すことができない」と明らかにした。
振興院の関係者も同じような回答を出している。同関係者は「国家生涯教育振興院は独学学位制を担当する」とし「試験範囲を提供して試験を出す役割であって、民間出版社の教材内容を全て確認していない。権限もない」と明らかにした。次いで「今回のケースも出版社が協力しなければ、機関レベルで強制的に修正することはできない」とし「再度起こり得ることだ」と述べた。
一方、独学士は国家生涯教育振興院が担当する独学学位制で取得できる学位の名称だ。計4回の試験を全てパスすれば、教育部長官が授与する学士学位を取得することができる。独学士全体の志願者は約3万人で、合格率は3%前後だという。
今回、ある出版社の歴史歪曲で論議となった教養国語は、独学士の最初の試験科目の一つだ。
ソン・ジュサン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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