高校1年生の子を持つイさん(58、女性)は先日、動画投稿・共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」で、「あなたはカワイイ女性が口移しでくれるチキンを我慢できますか?」というタイトルの動画を見た。学生服を着た男性を座らせて、体に密着したセクシーな服を着た女性が後ろから抱きつくなどの身体接触や、誘惑する言葉を言いながら、チキンを食べさせるという内容だった。イさんは「息子に『最近はこんなものまであ..
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高校1年生の子を持つイさん(58、女性)は先日、動画投稿・共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」で、「あなたはカワイイ女性が口移しでくれるチキンを我慢できますか?」というタイトルの動画を見た。学生服を着た男性を座らせて、体に密着したセクシーな服を着た女性が後ろから抱きつくなどの身体接触や、誘惑する言葉を言いながら、チキンを食べさせるという内容だった。イさんは「息子に『最近はこんなものまであるんだね』とカマをかけて聞いたら、『そういうの、最近よくあるよ』と言われた。制服を着た生徒を座らせて、一体なんでこんなことをするのか分からない」と語った。
最近、ユーチューブやショートビデオ・アプリ「ティックトック(TikTok)」などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では、再生回数や広告収入を増やすため、扇情的な動画を無差別にアップロードするケースが多くなっている。10代でも「成人認証」なしにこうしたコンテンツにアクセスできるだけでなく、最近では扇情的な動画に制服姿の生徒を主人公として登場させることも多い。
事実、チャンネル登録者数182万人のあるユーチューブ・チャンネルでは、「10代たちの話」を紹介するという名目で、制服姿の生徒を性的なコンテンツに多数登場させている。露出度の高い服を着た女性が登場して生徒を誘惑したり、体に密着したレギンスをはいている女性を並ばせて、気に入った女性を生徒に選ばせたりするというものだ。別のユーチューブ・チャンネルでは、制服姿の男女生徒を登場させてキスするよう誘導するカップル・ゲームをさせている。ユーチューブで「10代」と検索すると、こうした演出の動画が多数ヒットし、ほとんどが数百万回再生されている。
整体治療やヨガなどの運動・健康コンテンツをうたった露骨な性的動画も多い。整体治療の様子を見せるという名目で胸の谷間をあらわにしたり、体に密着した服を着た女性の体を整体師が触り、これをカメラでクローズアップにしたりするというものだ。このような動画には「いい体をしている」「目の保養になりそうだ」といったセクハラ(性的嫌がらせ)まがいのコメントが多数寄せられている。動画投稿者はこうした動画をアップロードして会社を宣伝したり、広告収入を得たりしている。女性が中心のインターネット・コミュニティー・サイトでは「医療にかこつけて女性を性的に消費する有害なコンテンツだ」と批判の声が上がっている。
動画配信サービス「ネットフリックス(NETFLIX)」の人気ドラマ『イカゲーム』は、血しぶきが飛ぶ銃殺シーンや露骨な性関係動画が登場するため、「青少年観覧不可」となっている。しかし、ティックトックや写真共有SNS「インスタグラム(Instagram)」には、これを「ショートビデオ」に編集し、年齢制限なく広くシェアされている。江原道の小学校で3年生の担任を務めているチョさん(25)は「子どもたちは最近、休み時間のたびに『イカゲーム』に出てくるゲームをしているが、銃で撃つ格好をするなど、ドラマのシーンをそのまままねている。『どうやって見たの?』と聞くと、『親のネットフリックスのアカウントにこっそり入って見た』とか、『SNSにアップされた動画を見た』という答えが返ってきた」と語った。
問題は、ユーチューブなどの主なネット・サービスにこうしたコンテンツの視聴年齢を制限する装置が十分整っていないことだ。現在、ユーチューブで動画を公開する際は、アップロードする人が自ら「満18歳以上」など視聴者の年齢に制限をかけるようになっている。露出が多いほど収益が得られるというシステム上、掲載者がこのような制限を自らかける可能性は高くない。 ユーチューブ関係者は「不適切なコンテンツが使用されている動画は収益が出ないよう阻んだり、視聴者の年齢制限を設定したりするなどして、自主的にモニタリングしている」と話す。ネットフリックスも、1人がサービスに加入すると、家族がみんなでシェアできるシステムなので、別途に子どものアカウントを作り、いちいち視聴可能年齢やパスワードなどを設定しない限り、有害な動画の視聴を阻むのは難しい。
高麗大学メディア学部のキム・ソンチョル教授は「地上波放送や映画など、従来のメディアは審議を通じてコンテンツを規制するプロセスがあったが、ニュー・メディアは生産量が膨大で、完全な規制は事実上不可能だ。暴力性・扇情性が強調された有害コンテンツが多数出ているだけに、プラットフォーム企業が技術的モニタリングを強化し、市民社会でも自主的に自浄しようという努力が必要だ」と語った。
チェ・ジェウク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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