韓国政府の目標通り2050年にカーボンニュートラルを達成するためには、太陽光・風力で生産した電力を貯蔵するためのエネルギー貯蔵装置(ESS)の構築だけで最大1248兆ウォン(現在のレートで約117兆2000億円)必要ということが、炭素中立委員会の内部検討の結果として確認された。今年5月に設立された炭素中立委員会は、公務員・大学教授・市民団体・企業関係者などからなる大統領直属機関だ。ESS設置に限..
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韓国政府の目標通り2050年にカーボンニュートラルを達成するためには、太陽光・風力で生産した電力を貯蔵するためのエネルギー貯蔵装置(ESS)の構築だけで最大1248兆ウォン(現在のレートで約117兆2000億円)必要ということが、炭素中立委員会の内部検討の結果として確認された。今年5月に設立された炭素中立委員会は、公務員・大学教授・市民団体・企業関係者などからなる大統領直属機関だ。ESS設置に限定されたものとはいえ、韓国の政府機関が推算したカーボンニュートラル関連の費用が確認されたのは今回が初めて。炭素中立委は今年8月にカーボンニュートラルのシナリオを発表した際、「所要の費用は考慮しなかった。カーボンニュートラルは選択ではなく、われわれが必ず進まねばならない道だけに、どのような革新が必要かを考える方が重要」として費用は公開していなかった。
韓国の保守系最大野党「国民の力」の金汀才(キム・ジョンジェ)議員が入手した「炭中委エネルギー分科専門委意見検討」という資料によると、教授研究員などからなる専門委員らは、再生可能エネルギーによる発電比率を61.9%へ増やした場合、ESS構築に少なくとも787兆ウォン(約73兆9000億円)から最大で1248兆ウォンかかると推算した。この資料は、カーボンニュートラルのシナリオ発表直前の今年7月に作成されたものだ。太陽光・風力など再生可能エネルギーは天候や時間帯によって発電量が上下するため、安定的な電力供給のためには、生産した電力を貯蔵しておき、これを取り出して使えるESSの構築が欠かせない。
専門委は、ESS構築に必要な土地の広さは4182万から6680万坪(約138から220平方キロ)に達すると見込んでいた。これは汝矣島(2.9平方キロ)の48倍から76倍に達する面積だ。この資料には、専門委の意見に対し、産業通商資源部(省に相当)が「炭素中立委のシナリオは再生可能エネルギー剰余電力の貯蔵用途のみを検討したものとみられる」「系統安定化用ESSも検討が必要」という意見を出したことが付記されている。天候の変化によって太陽光・風力の発電量が需要を超過したり、逆に急激に不足したりする場合、電力系統が不安定になってブラックアウト(大停電)を引き起こしかねない。こうした事故を未然に防ぐためには、別途のESSが追加で必要だという。こうなると、実際のESS設備費用がさらに増えることは避けられない。匿名のあるエネルギー専門家は「政府内部で費用を算出してもこれを公開しないのは、国民をだます行為」「現実的かつ生産的なカーボンニュートラルの議論のためにも、費用は公開されるべき」と語った。
アン・ジュンホ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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