8月19日午後5時30分、京畿道抱川市のある農場でズッキーニの収穫や雑草除去などの作業を終えたカンボジア人女性3人が寮ではなくすぐ隣の別の農場に向かった。本業を終えてから隣の農場で「夜間のアルバイト」をするためだ。彼女たちはさらに2時間働き、1人当たり現金2万ウォン(約1900円)を稼いだ。コロナの感染拡大前は外国人労働者の時給は9000ウォン(約850円)ほどだったが、それがここ1年で1万ウォ..
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8月19日午後5時30分、京畿道抱川市のある農場でズッキーニの収穫や雑草除去などの作業を終えたカンボジア人女性3人が寮ではなくすぐ隣の別の農場に向かった。本業を終えてから隣の農場で「夜間のアルバイト」をするためだ。彼女たちはさらに2時間働き、1人当たり現金2万ウォン(約1900円)を稼いだ。コロナの感染拡大前は外国人労働者の時給は9000ウォン(約850円)ほどだったが、それがここ1年で1万ウォン(約940円)に上がった。
幅6メートル、全長100メートル余りのビニールハウス16棟で同じくズッキーニを栽培する隣の農場では、コロナ前は6人のベトナム人労働者を雇っていたが、今雇っているのは1人だけ。しかもこの1人は違法滞在者だ。彼は早朝5時から午後5時まで働き月250万ウォン(約23万5000円)の給与を受け取っている。この農場を経営する男性(63)は「今は収穫で忙しい時期だが、2人ではとてもじゃないが仕事にならないので、隣の農場から毎日アルバイトを3-4人ずつ借りて夜の作業を行っている」「今は収穫の時期だが、違法でも何でも金を余分に払ってでもとにかく外国人を引き留めるしかない」と語る。男性は「法務部(省に相当)から違法滞在者の取り締まりに来れば、もう道端に倒れ込むしかない」とも訴えた。
この男性のさらに隣の畑では春菊を栽培しているそうだが、見ると雑草だけが生い茂っていた。男性は「あそこは働き手がいないので、畑のオーナーが農薬をまいて春菊も枯れた。今は雑草しか生えていない」「こんな状況が今後も続けば、あれ(春菊畑)がこちらの未来だ」と嘆いた。
コロナの長期化で外国人労働者の新規入国が大きく減り、農家や工場などでは「労働者争奪戦」が起こっている。影響で外国人労働者の「価値」が上がり、農家などでは「違法滞在でもいいからとにかく外国人に来てほしい」という状況になった。
全羅南道霊岩郡で大手企業の下請けとして船を製造しているある工場では、コロナ前は全作業員100人のうち25人が外国人だった。ところが今も残っている外国人労働者は15人しかいない。短い場合は3年、長くても最大4年10カ月となっている韓国での就業ビザが満了し、外国人労働者たちは本国に帰ったか違法滞在者となってしまったからだ。コロナ初期は船舶の発注がほとんどキャンセルとなったが、最近は再び急激に増加している。この工場の関係者は「本当なら違法滞在者でも誰でも連れてきて雇いたいが、元請けが大手なので摘発されれば契約が取り消されるかもしれない。非常につらいところだ」と語る。
韓国人が嫌ういわゆる「3D(3K)」の仕事を引き受ける外国人労働者の価値が急上昇している。霊岩郡の大仏国家産業地区で取材した中小企業の複数の経営者によると、外国人溶接工の日当はコロナ前は韓国人の70%ほどだったが、最近は90%にまで上がったという。ある経営者は「韓国人溶接工の日当は約15万-16万ウォン(約1万4000-1万5000円)ほどだが、最近は外国人も13万-14万ウォン(約1万2000-1万3000円)はかかる」と述べた。工期に合わせるには週60-65時間は作業しなければならない状況が繰り返されているため、外国人労働者からは給与引き上げの要求も相次いでいる。外国人労働者に依存する零細工場などからは「1日でも早く外国人労働者がもっと来てくれなければ飢え死にするしかない」といった声も出始めている。
このような状況となった背景には、コロナの感染が長期化し、そのような中でビザが期限を迎えた外国人労働者たちが本国に帰ったにもかかわらず、一方でコロナの影響で外国人労働者の新規の入国が制限されている事情がある。実際に法務部の統計によると、農業や製造業などで働く非熟練外国人労働者が主に受ける「E9」のビザを所持する韓国国内の外国人の数は2019年には27万6553人だったが、今年7月には21万9570人へと20%以上も減少した。外国籍を持つ韓国系が韓国で就職する際に発給されるH2ビザの所持者もこの期間に22万6322人から13万8960人へと40%近く減った。韓国政府は農村での人手不足解消のため今年前半に外国人の短期労働者5300人の入国を認めたが、コロナの影響で実際に韓国に来た外国人はそのわずか7.8%にとどまった。
全国の地方自治体では「外国人労働者への求愛」に乗り出している。外国人労働者への依存度が高い江原道では今年に入って外国人労働者の居住環境改善に12億1100万ウォン(約1億1400万円)の予算を支援した。江原道楊口郡のある農場では寮をリフォームし、エアコンやオーブンなどの家電製品まで準備した。鉄原郡のある村では住民が村の空き家を修繕し、食料品やコインランドリーなどが準備された「外国人労働者居住施設」を来年9月まで運営することにした。
しかし今の状況では外国人労働者の人手不足が短期間で解消するのは簡単ではなさそうだ。中小企業中央会外国人力支援部のソン・ソンウォン部長は「激励施設を準備するなど、コロナの感染予防と同時に外国人労働者の入国許可拡大を急いで検討すべきだ」と語る。江陵原州大学多文化学科のキム・ギュチャン教授は「外国人労働者の数を増やすことも重要だが、住居の管理、労働環境や福利厚生施設の改善などを通じ、今いる外国人労働者の離脱を防止することも重要だ」と指摘した。
霊岩=キム・ヨンジュン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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