▲2018年9月14日に慶尚南道巨済市の大宇造船海洋玉浦造船所で執り行われた韓国初の3000トン級潜水艦「島山・安昌浩(トサン・アン・チャンホ)」の進水式。/巨済=ニューシス
昨年大宇造船海洋が北朝鮮によるとみられるサイバー攻撃を受け、韓国海軍の3000トン級潜水艦など複数の艦船に関する資料が一部流出していたことが20日までに分かった。北朝鮮は2016年にも大宇造船海洋に対してサイバー攻撃を行い、3000トン級潜水艦・張保皐(チャン・ボゴ)Ⅲ級の設計図や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)韓国型垂直発射機(KVLS)技術などを奪った。さらに原子力潜水艦用の小型原子炉開発..
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▲2018年9月14日に慶尚南道巨済市の大宇造船海洋玉浦造船所で執り行われた韓国初の3000トン級潜水艦「島山・安昌浩(トサン・アン・チャンホ)」の進水式。/巨済=ニューシス
昨年大宇造船海洋が北朝鮮によるとみられるサイバー攻撃を受け、韓国海軍の3000トン級潜水艦など複数の艦船に関する資料が一部流出していたことが20日までに分かった。北朝鮮は2016年にも大宇造船海洋に対してサイバー攻撃を行い、3000トン級潜水艦・張保皐(チャン・ボゴ)Ⅲ級の設計図や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)韓国型垂直発射機(KVLS)技術などを奪った。さらに原子力潜水艦用の小型原子炉開発に関与してきたとされる韓国原子力研究院も先日、北朝鮮からとみられるサイバー攻撃を受けた。北朝鮮が韓国の極秘技術を奪い、これを原子力潜水艦の開発に活用する可能性が浮上しているのだ。
韓国政府のある高官はこの日「原子力研究院のほかにも昨年は大宇造船海洋に対するサイバー攻撃が行われた」とした上で「原子力研究院からは非常に重要な資料が流出したと聞いている」と伝えた。韓国の保守系野党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員は今月18日、原子力研究院がサイバー攻撃を受けた事実を公表したが、これに加えて河議員の事務所関係者は「大宇造船海洋もサイバー攻撃を受けた。その際一部の文書が流出したようだ」「主に潜水艦関連のものだった」と明らかにした。韓国防衛事業庁も大宇造船海洋がサイバー攻撃を受けた事実を認めた。ただし防衛事業庁は「ネットワークの分離が行われていたので、軍事機密の流出はなかった」と説明した。
大宇造船海洋は韓国海軍の全ての潜水艦を建造してきたため、北朝鮮は大宇造船海洋に対して執拗(しつよう)にサイバー攻撃を仕掛けているが、韓国軍当局と専門家もこの点に注目している。今回も北朝鮮はサイバー攻撃を仕掛けてきたが、実際に流出した文書の具体的な内容は確認されていない。別の消息筋は「2018年に進水式が行われ近く海軍に引き渡される島山・安昌浩(トサン・アン・チャンホ)など新型の3000トン級潜水艦、さらにこの潜水艦に搭載されるSLBM用の韓国型垂直発射機技術などを北朝鮮が狙っている」との見方を示した。
北朝鮮は2016年4月に大宇造船海洋に対してサイバー攻撃を行い、1-3級の軍事機密60件以上を含む4万件の内部資料が奪われた。3000トン級潜水艦をはじめとして栗谷・李珥(ユルゴク・イ・イ)などのイージス艦、蔚山級バッチⅡなどのフリゲート艦、統営(トンヨン)など救難艦の設計図や建造技術に関する資料、搭載兵器に関する資料、試験評価資料、提案書の評価資料なども流出したようだ。
海軍の3000トン級潜水艦は3段階にわたり合計9隻が建造されているが、現在は1段階2番艦まで進水式が行われた。SLBMは1段階に6発、2段階と3段階にそれぞれ10発ずつ搭載される。ミサイルは発射される艦橋ではなく船体の中央に装着される。ある韓国軍筋は「北朝鮮も潜水艦に3-4発以上のSLBMを搭載するには、韓国の張保皐(チャン・ボゴ)Ⅲ級のように潜水艦の船体中央に装着しなければならない」「そのような面で韓国の3000トン級潜水艦の設計技術などを奪う必要があったのだろう」との見方を示した。
北朝鮮の原子力潜水艦開発は今年1月に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が正式に開発宣言を行ったことで知られるようになった。当時の労働新聞は「新しい原子力潜水艦の設計に関する研究が終わり、最終審査の段階にある」と報じた。原子力潜水艦建造には幾つかの技術的な難関があるが、その最も大きなものは潜水艦に搭載される安全な小型原子炉の開発だ。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領をはじめとする韓国の現政権は原子力潜水艦の保有に強い意欲を示してきた。専門家は「小型原子炉の設計など原子力潜水艦の基本技術はある程度確保した」と評価している。原子力研究院は韓国国防科学研究所と協力し、原子力潜水艦開発の中心的な役割を担っているとされているため、最近は北朝鮮がサイバー攻撃の重要な標的としているようだ。さらに韓国政府や韓国軍に加え最近は防衛関連企業に対する北朝鮮のサイバー攻撃も続いていることから「これらの企業もサイバー攻撃に対する備えをさらに強化すべきだ」との指摘もある。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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