▲基本軍事訓練団で、行軍する訓練兵を引率する助教。/写真=韓国空軍
忠清南道論山の陸軍訓練所(以下、訓練所)で助教を務める兵士らが最近、「訓練兵の人権を重視せよ」という韓国軍指揮部の方針に対し「人権を最優先にすると訓練兵らが言うことを聞かない」として「劣悪な環境で仕事をしている助教の立場も理解してほしい」と訴えている。軍不正給食問題で酷使されている一線の調理兵らが「われわれは機械ではない」と主張したのに続いて、「軍紀」の象徴的存在である訓練所の助教らまで不満を提..
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▲基本軍事訓練団で、行軍する訓練兵を引率する助教。/写真=韓国空軍
忠清南道論山の陸軍訓練所(以下、訓練所)で助教を務める兵士らが最近、「訓練兵の人権を重視せよ」という韓国軍指揮部の方針に対し「人権を最優先にすると訓練兵らが言うことを聞かない」として「劣悪な環境で仕事をしている助教の立場も理解してほしい」と訴えている。軍不正給食問題で酷使されている一線の調理兵らが「われわれは機械ではない」と主張したのに続いて、「軍紀」の象徴的存在である訓練所の助教らまで不満を提起したのだ。
訓練所助教のA氏は5月26日、フェイスブックのコミュニティー「訓練所に代わってお伝えします」に告発の手紙を送った。A氏は「240人の訓練兵を助教4人(人員が足りず、きちんと充員もされない)が担当する」とし、1日17時間以上の激務に苦しんでいる訓練所の助教の日課を紹介した。▲午前6時前に起床、戦闘服の上にコロナ防疫服を重ね着する▲200人以上の訓練兵の食事を毎回幕舎へ運ぶ▲トイレの利用をコントロールする▲トイレなどの施設物を一つの生活館(兵士が寝泊まりする建物の単位、旧日本軍の内務班に相当)が利用するたび毎回消毒する▲訓練兵の就寝状態を確認する▲翌日の日程決算を行う▲午後10時以降にシャワー、11時にようやく休む-という。
助教の業務はこれだけではなかった。A氏は「定量の配食のため、おかずなどをはかりにかけて測り、配食に神経を使わなければならない」と伝えた。この他にも▲訓練兵の悩みの聞き取り▲具合の悪い訓練兵に薬を与えたり、医務室・病院に後送したりする▲忠誠クラブ(PX。売店)・電話・洗濯・積み立ての申請などの案内▲宗教活動の引率▲補給品のサイズ調査と支給▲身体・血液・人間性などの検査-といった雑務があふれるほどあるという。
助教らのこうした不満は、このところ不正給食問題などで世論の批判を浴びた韓国軍指揮部が、解決策を模索する過程で「人権」を強調している状況と無関係ではない。南泳臣(ナム・ヨンシン)陸軍参謀総長は5月26日、訓練所を訪れて「人権尊重室」の開所式を主管した。韓国陸軍は訓練所での喫煙を認めるなど「人権改善案」も議論している。A氏は「訓練兵が今では、日課の時間に助教が生活館に入ってこようがくるまいが横になっている」とし「助教がいても声を張り上げ、ののしる訓練兵が大半」とつづった。かつては「恐怖の赤い軍帽」と呼ばれ、訓練兵の敬意の対象だった助教が、今では訓練兵の顔色をうかがうのに忙しいという指摘だ。
韓国陸軍は、A氏の指摘のかなりの部分について事実として把握していることが分かった。一部の訓練兵が「こんなことなら通報する」というような対応をしていることに、助教は恥辱を感じているという。助教の間からは「『甲チル(優越的地位を利用した無理強い)』する客の相手をする感情労働者になった気分」という声も上がっている。訓練所の助教を務めて最近除隊したある予備役兵長は「訓練期間に苦楽を共にした助教と訓練兵が修了式の際に別れつつ涙を流していた光景も、今や昔」だとして「こんな形の『人権訓練』を受けた兵士たちが野戦に行ったら、軍文化全体が変わってしまいかねない」と語った。
訓練所はこの日、公式見解を出して「助教の意見を集約し、労苦を激励した」とコメントした。しかし、韓国軍がこのところ不正給食やコロナ防疫「人権侵害」論争で「その場しのぎ」な対処をしているせいで、こういう形の「風船効果(一つの不具合を抑えるための規制が、別の副作用を誘発する現象)」が次々と出現している、という指摘がある。韓国軍関係者は「一線の中尉・少尉、中士(軍曹に相当)・下士(伍長〈ごちょう〉に相当)など下級幹部の業務疲労もまた極限に達している状況」だとし「論争が起こるたびに一時的な取り繕いの処方をするのではなく、調理兵・助教などさまざまな構成員の士気、軍全体の団結を考慮すべき」と語った。
ウォン・ソンウ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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