▲養子縁組問題を取り上げたドキュメンタリー映画『フォーゲット・ミー・ノット(Forget Me Not)』を手がけたソンヒ・エンゲルストフ監督=デンマーク=が21日、養子縁組時の写真を手に登壇した。名前と生年月日が見える。写真=キム・ジホ記者
「私は母親のことを覚えていません。だが、私の体はずっと彼女を探し続けていました。まるで『私の中で響くこだま(echo inside me)』のように」
ドキュメンタリー映画『フォーゲット・ミー・ノット-母に書く手紙(Forget Me Not)』の公開を控えているソンヒ・エンゲルストフ監督(39)=デンマーク=は「母がなぜ私を捨てたのか知りたくて作った映画です。はじめから韓国公開が目標でした」と..
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▲養子縁組問題を取り上げたドキュメンタリー映画『フォーゲット・ミー・ノット(Forget Me Not)』を手がけたソンヒ・エンゲルストフ監督=デンマーク=が21日、養子縁組時の写真を手に登壇した。名前と生年月日が見える。写真=キム・ジホ記者
「私は母親のことを覚えていません。だが、私の体はずっと彼女を探し続けていました。まるで『私の中で響くこだま(echo inside me)』のように」
ドキュメンタリー映画『フォーゲット・ミー・ノット-母に書く手紙(Forget Me Not)』の公開を控えているソンヒ・エンゲルストフ監督(39)=デンマーク=は「母がなぜ私を捨てたのか知りたくて作った映画です。はじめから韓国公開が目標でした」と語った。1982年6月20日に釜山で生まれてすぐ、エンゲルストフ監督はデンマークに連れて行かれた。「シン・ソンヒ」という名前と誕生日以外は何も知らないまま成長した彼女は数年前、韓国の未婚の母の保護施設に滞在し、養子縁組の過程をカメラに収めた。
「黒い瞳と黒い髪、デンマークで私はあまりにも目立ちすぎる子どもでした。みんな私に尋ねました。『なぜあなたはここにいるの?』『どこから来たの?』『デンマーク語がどうしてそんなに上手なの?』私は養父母に似たいと思いましたが、不可能なことでした。 『Why me(どうして私なの)?』と天を恨みました」
エンゲルストフ監督はデンマーク国立映画学校を卒業した。大人になって韓国に初めて来た時、彼女は込んでいる道で生まれて初めての安らぎを感じた。「デンマークでは友達と写真を撮ることさえ気が引けるほど、骨の髄から寂しさを感じていました。ですが、ここでは誰も私を変な目で見ませんでした。いすやトイレの便器が私の体格にピッタリ合うということが最も衝撃的でした(笑)」
『フォーゲット・ミー・ノット』は彼女の長編デビュー作だ。「産んで育てる」という未婚の母と反対する家族、出産後の変化、親の戸籍に下のきょうだいとして入れる事例、海外養子縁組などが出てくる。エンゲルストフ監督は「彼らにとって養子縁組は不幸な人生の救いとなる道でした。私の母の過去の姿と会いました」と言った。
彼女の生物学的な母親は当時19歳のシングルマザーだった。女の子を出産した日に養子縁組同意書に署名した。エンゲルストフ監督が韓国の警察の助けを借りて見つけ出した母親は対面を一貫して拒否した。「撮影中はそれが最も痛みを伴う瞬間でした。母親に2回目の拒絶を受けたわけですから。私は彼女の秘密なのです(I'm her secret)。母親と私が共有している、私たちを永遠に一つに結び付ける悲しみが何なのか、分かりました」
この映画の中で最も美しい瞬間は出産シーンだという。そうして産まれた赤ちゃんを残して養子に出す未婚の母がむせび泣く時、エンゲルストフ監督も一緒に泣いた。監督は「自発的に赤ちゃんを放棄する未婚の母は見ていない」と言った。
養子縁組問題を取り上げたドキュメンタリー作品は、ルーツを探す個人的な叙事詩だったり、和解または新たな関係を結んだりして終わることが多い。だが、『フォーゲット・ミー・ノット』はそれを社会的な問題にまで広げたという点で特別だ。エンゲルストフ監督は「養子縁組の実態を調査してみると、私は海外に養子に出された21万人のうちの1人でした」と語った。
「私のような養子縁組ストーリーは珍しいことではなく、よくあることでした。『Why me?』から『Why us(どうして私たちなの)?』と質問を変えなければなりませんでした。子どもが親や家族と引き離されるとトラウマ(心的外傷)になります。秘密にしておくのは良い方法ではありません。養子縁組問題について社会的に発言しなければならないという使命感を感じています」
『フォーゲット・ミー・ノット』は6月3日に公開される。映画を見た母親がもし連絡してきたら、何を話したいか聞いてみた。すると、監督は「お母さんがどれだけつらかったか分かるよ。私はお母さんのこと憎んでいないよ」と言うと答えた。
朴敦圭(パク・トンギュ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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