記者は13日、ソウル市城東区竜踏洞にある「リアルドール体験室」を訪れた。ここは実際の女性の体や顔を精巧に再現して作ったシリコン人形形態のアダルト用品「リアルドール」が備えられた部屋を貸し出す場所だ。1時間の利用料金は4万ウォン(約3900円)。廊下に沿って7部屋が並んでいた。社長(51)は「この部屋のリアルドールが最も人気だ」と言って案内してくれた。ドアを開くと、1坪もないような狭い部屋のベッド..
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記者は13日、ソウル市城東区竜踏洞にある「リアルドール体験室」を訪れた。ここは実際の女性の体や顔を精巧に再現して作ったシリコン人形形態のアダルト用品「リアルドール」が備えられた部屋を貸し出す場所だ。1時間の利用料金は4万ウォン(約3900円)。廊下に沿って7部屋が並んでいた。社長(51)は「この部屋のリアルドールが最も人気だ」と言って案内してくれた。ドアを開くと、1坪もないような狭い部屋のベッドに身長170センチほどの裸のリアルドールが横たわっていた。事実上の「人形売春」だ。社長は「昨年1月にオープンしたが、多いときには月1000万ウォン稼ぐ。週2-3回来る得意客もおり、清涼里駅近くに出した2号店はホームレスが主要顧客だ」と話した。
このようにリアルドールを時間貸しする「リアルドール体験室」が韓国全土に雨後のたけのこのようにできている。コロナで売春街やオフィステル(店舗建住宅)での売春が難しくなると、生身ではない女性の人形を使った売春が法律の抜け穴となって登場したのだ。業界によれば、現在全国で150カ所以上が営業しているとみられる。現在韓国ではリアルドールの輸入、販売が合法だ。リアルドール体験室も「性器具取扱事業所」に分類され、特に設立許可は必要ない。リアルドール業界関係者は「オフィステルでの売春をあっせんしていた業者は、コロナ感染時の動線公開で客足が減ると、『リアルドール』へと業態を変えた。最近は客がいないモーテルも空き部屋にリアルドールを置いて商売している」と語った。
事実上「人形売春」を行うリアルドール体験室は規制の死角地帯になっており、学校や区庁の周辺など住宅街に広がっている。それに伴い、市民の反発も強まっている。京畿道竜仁市の器興区庁周辺では、リアルドール体験室が開業しようとしたところ、4日間で4万人を超える市民が反対請願に加わった。結局、白君基(ペク・クンキ)竜仁市長は14日、「15日までに閉鎖する」と表明した。周囲の視線を意識し、看板を出さずに予約制でオフィステル内で営業するケースも多い。あるリアルドール体験室の経営者に連絡すると、「料金を送金すれば、リアルドールがあるオフィステルの部屋場号とキーの暗証番号を知らせる」との説明だった。未成年者もいくらでも利用可能だ。一部店舗はリアルドールに学校の制服を着せて営業しており、誤った性認識を植え付ける懸念も指摘されている。
リアルドール体験室だけでなく、リアルドール自体も急速に広まっている。インターネット通販のクーパンで「リアルドール」を検索すると、7万8000件余りがヒットした。人体と酷似した商品は普通100万ウォン前後で、300万ウォンに迫る高級品もあった。一人暮らしの世帯が全体の4割に迫るほど増えたこともリアルドールの拡散要因の一つだ。ただ、専門家は「個人的に購入することと、リアルドールを売春目的で使い、営利活動を行うことは別問題だ」と指摘する。
現在政府はリアルドールへの対応で足並みがそろっていない。大法院は2019年6月、リアルドールの輸入を認める判決を下した。アダルト用品輸入業者が税関を相手に輸入通関保留処分の取り消しを求めた訴訟で、大法院は「プライベートな領域の個人活動に国家がなるべく干渉しないことが人間の尊厳と自由を実現する道だ」と指摘した。しかし、大法院判決にもかかわらず、国税庁は「風俗を害する物品」という理由に輸入を認めていない。リアルドールに関する住民の苦情が相次いでいるが、警察も手を出せずにいる。警察関係者は「何度か取り締まってはみたが、検察が大法院の判決を挙げ、全部不起訴処分とするため、取り締まりができない状況だ」と話した。
一部には「重度の障害者や高齢者など性欲を解消することが難しい人に役立つ」とするプラス効果を指摘する声もある。これについて、ユンキム・ジヨン昌原大教授は「リアルドール体験室は予約制で人形を選ぶことができ、時間当たりのサービスなど性風俗店と経営方法が非常に似ている」とし、「リアルドールは性的欲求の解消というレベルを超え、人間の形状を描写すること自体が目的となっている」と述べた。慶熙大法科大学院(ロースクール)のチョン・ワン教授は「個人のリアルドール使用は認めても、児童の姿のリアルドールやリアルドール体験室まで認めるのかどうかなど、細かく法律をつくる必要がある」と指摘した。
カン・ダウン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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