少子化は主要先進国にとって共通の問題だ。2018年の時点で経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の合計特殊出生率(妊娠可能な女性が一生のうちに出産すると予想される子供の数)はイスラエル(3.09人)とメキシコ(2.13人)を除けば、どこも人口維持に必要な2.1人を下回っている。ところが韓国はOECD加盟国の中で合計特殊出生率が唯一1人にも満たない0.98人だ。これはもちろん最下位で、しかも19..
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少子化は主要先進国にとって共通の問題だ。2018年の時点で経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の合計特殊出生率(妊娠可能な女性が一生のうちに出産すると予想される子供の数)はイスラエル(3.09人)とメキシコ(2.13人)を除けば、どこも人口維持に必要な2.1人を下回っている。ところが韓国はOECD加盟国の中で合計特殊出生率が唯一1人にも満たない0.98人だ。これはもちろん最下位で、しかも1995年以来最も長期にわたり超少子化国(合計特殊出生率1.3人未満)にとどまっている。
出生率が下落するペースが最も早いことも大きな問題だ。1970年から2018年までの合計特殊出生率は4.53人から0.98人へと3.55人も減少し、OECD加盟国の中で減少幅は最も大きかった。その後も韓国の合計特殊出生率は0.92人(2019年)、0.9人(2020年第1四半期)、0.84人(2020年第2・第3四半期)を記録し、過去最低を塗り替え続けている。今年全体の合計特殊出生率も史上はじめて0.8人台となる可能性が高い。
韓国政府は毎年少子化対策に数十兆ウォン(数兆円)を投じているが、その効果がほとんど出ていないとの指摘も相次いでいる。韓国政府が直近の5年間(2016-20)に少子化対策のために投入した予算は150兆ウォン(約14兆2000億円)に達し、先月15日に発表した第4次少子高齢化基本計画(2021-25)には総額で196兆ウォン(約18兆6000億円)がさらに投入される。ところが実際の政策をみると、その全てがたとえば満0-1歳の乳児に2022年から30万ウォン(約2万9000円)を支給する乳児手当の新設、出産時の200万ウォン(約19万円)クーポンの支給、妊娠・出産に必要な診療費支援額の上限引き上げなど、現金性の支援拡大にとどまっている。
出生率の目標も提示できていない。過去の第1次少子高齢社会基本計画では2020年の出生率をOECD加盟国平均の1.6人、30年の目標を1.7人に引き上げる目標を提示したが、今回の計画に目標は明記されていない。少子高齢社会委員会のパク・チンギョン事務局長は「出生率が0.8人前後まで低下することが予想される今の状況では、目標を設定するのは無意味だ」と指摘する。出生率引き上げを目標とするよりも、福祉の拡大などで出産しやすい環境の造成を優先するという意味だ。
ヤン・スンジュ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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