韓国政府と韓国軍当局が、これまで推進してきた「大型輸送艦II」事業を「軽航空母艦事業」に変更して推進する案を積極的に検討していることが4日までに分かった。このために、当初は2033年ごろ進水する予定だった3万トン級韓国型多目的輸送艦と、これに搭載されるF35Bステルス垂直離着陸戦闘機について、配備時期を2-3年ほど前倒しする案を推し進めている。
韓国軍当局がこれまで中国・日本など周辺国を刺激しな..
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韓国政府と韓国軍当局が、これまで推進してきた「大型輸送艦II」事業を「軽航空母艦事業」に変更して推進する案を積極的に検討していることが4日までに分かった。このために、当初は2033年ごろ進水する予定だった3万トン級韓国型多目的輸送艦と、これに搭載されるF35Bステルス垂直離着陸戦闘機について、配備時期を2-3年ほど前倒しする案を推し進めている。
韓国軍当局がこれまで中国・日本など周辺国を刺激しないために使用していた事業名称も変わることが分かった。ここには、日本の軽空母配備に積極対処すべきだという文在寅(ムン・ジェイン)大統領の強い意志が反映されている、と伝えられている。なお一部からは、軽空母の効用性や、F35B早期配備に伴って韓国空軍の戦力増強の優先順位がゆがむ可能性への懸念も提起されている。
韓国政府の消息筋は4日、「国防部(省に相当)と合同参謀本部、海軍・空軍などが、韓国型軽空母と同艦に搭載されるF35Bステルス機の配備時期を当初の計画より前倒しする案を積極的に検討中」と伝えた。軽空母事業の推進および艦載機の早期配備には、日本の軽空母配備や中国の空母戦力増強、北朝鮮の迎撃回避新型ミサイル開発などが影響を及ぼしたといわれている。日本は、2024年ごろまでに「いずも」型ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)2隻を軽空母に改造すると決め、現在は改造作業を進めている。
中国は中型空母2隻を実戦配備し、さらに空母2隻を追加建造している。「北朝鮮版イスカンデル」ミサイルや超大型放射砲(600ミリ級多連装ロケット砲)など、従来の韓米ミサイル防衛網では要撃が難しい北朝鮮の新型ミサイル・放射砲が登場したことも影響を及ぼした。北朝鮮は有事の際、新型ミサイルと超大型放射砲を交ぜて撃ち、F35Aステルス戦闘機が配備された清州基地など韓国空軍の基地を無力化する可能性が高い。一方、F35Bステルス戦闘機を搭載した軽空母は、有事の際に北朝鮮の新型ミサイルおよび放射砲の射程外で生き残り、反撃できる。
だが、巨額の費用を投じるほどの実効性が軽空母にあるのか、有事の際に周辺大国の脅威から生き残れるのか-という点を巡る論争も存在する。軽空母1隻の配備には5兆ウォン(現在のレートで約4400億円。以下同じ)以上の予算がかかると予想される。純粋な艦艇建造費用は1兆8000億ウォン(約1600億円)以上だが、F35B戦闘機20機の配備に3兆-4兆ウォン(約2700億-3500億円)以上かかると推定されている。F35B戦闘機20機という数字は、軽空母に搭載される12機に訓練用・予備用の8機を合わせたもの。F35Bは垂直離着陸が可能という利点があるが、F35Aに比べて性能は落ちる反面、価格は30%ほど高い。
F35Bの早期配備に伴って、当初は来年から推進される予定だったF35A戦闘機20機の追加配備事業が遅延する可能性が高まったことも物議を醸している。韓国空軍は来年までにF35A戦闘機40機の配備を完了した後、すぐさま20機追加配備事業を進め、2020年代中盤-後半までに「F35A戦闘機60機体制」を整える計画だった。ところが20年代中盤-後半に位置付けられていたF35B配備事業が20年代前半へと前倒しになることで、逆にF35Aの優先順位が押し下げられる可能性が高まったのだ。なお、F35Bが軽空母に搭載されるとしても、運用は空軍が行うことになる。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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