【写真】黒い雲の中の検察旗/聯合ニュース
文在寅(ムン・ジェイン)政権幹部らが関係する主要な事件の捜査が、どれも特別な理由がないまま相次いで先送り、あるいは全く進展しない状態が続いている。「開店休業」という言葉が出るほどだ。昨年7月「人間には忠誠を尽くさない」と公言する検察総長が任命され、その任命式の席で文在寅大統領は「(われわれの)生きた権力に対しても捜査せよ」と指示し、国民は検察の歴史でほぼ見られなかった真の検察、まともな検察の姿を..
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【写真】黒い雲の中の検察旗/聯合ニュース
文在寅(ムン・ジェイン)政権幹部らが関係する主要な事件の捜査が、どれも特別な理由がないまま相次いで先送り、あるいは全く進展しない状態が続いている。「開店休業」という言葉が出るほどだ。昨年7月「人間には忠誠を尽くさない」と公言する検察総長が任命され、その任命式の席で文在寅大統領は「(われわれの)生きた権力に対しても捜査せよ」と指示し、国民は検察の歴史でほぼ見られなかった真の検察、まともな検察の姿を一瞬だが垣間見ることができた。検察の存在理由は実際に権力を振るっている人間の不正を監視し、捜査することだ。検察は昨年8月末、大統領の最側近だったチョ・グク元法務部(省に相当、以下同じ)長官の破廉恥な行動を捜査した。さらに大統領を「ヒョン(兄貴)」と呼んでいるという柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市副市長の身柄を拘束し、青瓦台(韓国大統領府)が関係した蔚山市長選挙工作についても捜査を行った。検察の歴史で前例のない「生きた権力」に対する捜査だった。ところが今、検察の姿は影も形もなくなってしまった。
■蔚山選挙工作捜査、大統領の前でストップ
蔚山市長選挙工作は、「当選が願い」と語っていた30年前からの知己だった与党候補者を文大統領が当選させるため、青瓦台の七つの部署が総動員された事件だ。「大統領」なしには想像もできない出来事であり、捜査の核心もこの部分と言えるだろう。しかし捜査は大統領の前でストップしている。検察は今年1月末、宋哲鎬(ソン・チョルホ)蔚山市長ら第1次として13人を起訴したが、イム・ジョンソク元大統領秘書室長ら他の関係者に対する捜査は事実上中断した状態で、それについては「関係者が出頭に応じないため」と言い訳している。6カ月かけて解明したことは、宋市長の側近による違法な政治資金容疑だけだ。本質とは関係のないところで遠回しに捜査を行うふりだけをしているのだ。
■召喚の日程さえ決められない尹美香事件
尹美香(ユン・ミヒャン)議員に対する捜査も2カ月以上にわたり何の進展もない。この事件に複雑なことは何もなく、ただ正義連の会計不正を解明することだけだ。すでに明らかになった証拠や状況証拠も決して少なくない。正義連の会計帳簿には、数億ウォン(数千万円)の国庫補助金を含む37億ウォン(約3億3000万円)に上る補助金と寄付金の記載がない。正義連は死亡した被害者女性の口座から随時まとまった現金を引き出すなど、マネーロンダリング疑惑まで持ち上がっている。被害者女性のために準備したという「慰安婦憩いの家」の建物は正義連のペンションとして使用され、尹議員の父親がそこに就職して毎月給与を受け取っていた。それでも尹議員が出頭する日程さえいまだに決められないのが現状だ。正義連の関係者は検察の事情聴取を拒否しており、連絡さえつかないこともあった。政権の顔色をうかがい、適当に捜査を行っているのだろう。野党のある議員が自ら集めた資料を持って検察を訪れたほどだ。
■秋長官の息子による軍への未復帰問題、6カ月にわたり顔色うかがい
秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の息子が兵役中に休暇から戻らない事件の捜査も、すでに6カ月にわたり進展しない状態が続いている。当時、当直だった兵士が「事実上の脱営だった」「秋長官の息子が休暇から戻らない事実を上部に報告する前から、上級部隊から休暇を延長させるよう指示があった」と証言している。別の兵士ら4人もメディアに全く同じように証言し「自分のお母さんも秋美愛だったらよかった」などとSNS(会員制交流サイト)にアップしていた事実も公表された。この捜査は銀行口座の追跡といった複雑な手続きは必要ない。それでも検察は数カ月にわたり全く動こうともせず、最近になって一部の関係者から事情聴取を行っただけだという。関係者に口裏合わせをさせる時間を与えたのだ。長官の顔色をうかがいながら適当にもみ消そうとしているのだ。
■「ライム」「オプティマス」…政権による不正は隠すのか
1兆6000億ウォン(約1400億円)規模に上る金融詐欺被害が発生したライムファンド事件では、民主党議員がライムの詐欺師たちからプレゼントを受け取っていたことが分かった。検察が公開したのではなく、メディアが報じた内容を議員が認めたのだ。問題の議員が現金まで受け取った疑惑も浮上している。しかしその議員が聴取を受けたという知らせは伝わってこない。これが野党であれば通用しただろうか。ライムと同じようなオプティマス事件では、詐欺を主導した弁護士の妻が青瓦台民情首席室に勤務しながら、オプティマス関連株の50%を保有している事実が明らかになった。しかしソウル中央地検はこれを大規模不正事件を担当する反腐敗部ではなく、通常の告訴・告発事件を捜査する調査部に担当させた。しかも政権核心と親しいファンドの設立者については「捜査対象ではない」と強弁している。「政権による不正」には手をつけないというこだ。
■朴元淳告訴情報の流出、2週間以上うやむや
ソウル中央地検は、故・朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長告訴情報流出事件に対する告発を受理したが、その後2週間以上にわたり何もしていない。その間にソウル中央地検が朴市長告訴の事実を警察より1日早く知っていたことも明らかになった。被害者面談申請は納得し難い言い訳で拒否した。ソウル中央地検が情報を横流しし、この事実を隠すため捜査をもみ消している可能性が高い。ソウル中央地検のある幹部がKBS放送にチャンネルA記者事件関連の虚偽の録音記録をリークした疑惑、さらにMBC放送と与党勢力関係者によるこの事件の捏造(ねつぞう)容疑も徹底して無視されている。
これら全てが民主党が総選挙で圧勝した後に検察で起こっている出来事だ。外に知られたことだけでもこの程度だから、明らかになっていない事例はさらに多いはずだ。この政権は自分たちの不正容疑を捜査した検事チームを人事によって虐殺し、空中分解させ、検察総長の手足を断ち切って植物総長にしてしまった。しかも近いうちにまた新たな検察人事が予定されているという。検察総長に従う検事たちに対する2次虐殺がその目的だ。最終的には生きた権力を捜査してきたごくわずかの「真の検事」たちが全て追い出され、大統領の忠犬、猟犬だけが残ってしまうだろう。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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