「私たち、心を静めてもう一度やってみましょう。幸運はしばらく休んでいるだけです」
これは故・朴元淳・元ソウル市長が2013年に漢江大橋欄干に書いた「自殺防止の言葉」だ。ところが朴市長本人が秘書に対するセクハラ疑惑が浮上したことで自ら命を絶ったため、ソウル市が先日、朴市長による自殺防止の言葉を消していたことが確認された。「自ら命を絶った人間が書いた自殺防止の言葉は見たくない」という市民からの声があ..
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「私たち、心を静めてもう一度やってみましょう。幸運はしばらく休んでいるだけです」
これは故・朴元淳・元ソウル市長が2013年に漢江大橋欄干に書いた「自殺防止の言葉」だ。ところが朴市長本人が秘書に対するセクハラ疑惑が浮上したことで自ら命を絶ったため、ソウル市が先日、朴市長による自殺防止の言葉を消していたことが確認された。「自ら命を絶った人間が書いた自殺防止の言葉は見たくない」という市民からの声があったためだ。
ソウル市の関係者は「今月27日、漢江大橋に書かれた朴元淳市長による自殺防止の言葉を消した」と本紙に明らかにした。この関係者は「朴市長の言葉は見たくないという市民からの声があったためだ」「自殺防止の言葉の実効性についても以前から問題視されていたので、今年の末までに自殺防止の言葉を全て消し、フェンスを高くする計画を進めている」とも説明した。
漢江大橋に自殺防止の言葉が書かれたのは2013年11月。12年にソウル市は漢江にかかる橋のうち、自殺者が最も多かった麻補大橋の欄干に市民への公募で決めた「自殺防止の言葉」を書き込むプロジェクトを行い、海外の広告イベントにおいて37の賞を受賞した。それを受けてソウル市は13年に漢江大橋の欄干にも自殺防止の言葉を書いた。
市民が直接考えた麻補大橋の言葉とは違い、漢江大橋には44人の有名人が考えた言葉が書かれた。「私たち、心を静めてもう一度やってみましょう。幸運はしばらく休んでいるだけです」(朴元淳・ソウル市長)、「つらいとき、静かに目を閉じて自分に言葉を掛けてください。自分はどんな人なのか、どれだけ大切な人なのかと」(体操の孫延在〈ソン・ヨンジェ〉選手)、「あなたが考える明日は思った以上に良いはずです」(タレントのハ・ジョンウ氏)などだ。
このプロジェクトについては市民から多くの称賛はあったものの、一方で「これらの自殺防止の言葉は現実として自殺防止に効果はない」との批判も根強かった。
2012年に麻補大橋で投身自殺を試みた人は15人だったが、13年には93人、14年184人と文言が書かれてからの方が逆に自殺をしようとした人は増加した。これに対して16年に麻補大橋の欄干の高さを従来の1.5メートルから2.5メートルに高くしたところ、16年に211人だった自殺をしようとした人は17年163人、18年148人と減少した。抽象的な文言よりも、物理的にフェンスを高くする方が自殺の抑制に効果があったということだ。
最終的にソウル市は2019年、自殺防止の言葉に実効性はないと判断し、市民が考えた麻補大橋の言葉を全て消した。ただし有名人が考えた言葉には問題がないとして、漢江大橋のものは消さずにそのまま残していた。
しかし朴市長による自殺防止の言葉が消されたことを皮切りに、ソウル市は今年中に漢江大橋の言葉も全て消す計画だという。上記のソウル市関係者は「漢江大橋も安全欄干を高くする作業を進めており、今年の末までに言葉は全て消す計画だと聞いている」と説明した。
ウォン・ウシク記者
チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版
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