記者はこのほど、ソウル市永登浦区のタイムズスクエアモールにある日本のアパレルブランドGUの店舗を訪れた。店内には至るところに3900ウォン(347円)、5900ウォンといった破格の値段の特売ステッカーが張られていた。GUは2年前、蚕室ロッテワールドモールに1号店を出店後、2、3号店をオープンし、意欲的に韓国市場進出を図っていた。しかし、昨年7月に日本の輸出規制で日本製品に対する不買運動が起き、売..
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記者はこのほど、ソウル市永登浦区のタイムズスクエアモールにある日本のアパレルブランドGUの店舗を訪れた。店内には至るところに3900ウォン(347円)、5900ウォンといった破格の値段の特売ステッカーが張られていた。GUは2年前、蚕室ロッテワールドモールに1号店を出店後、2、3号店をオープンし、意欲的に韓国市場進出を図っていた。しかし、昨年7月に日本の輸出規制で日本製品に対する不買運動が起き、売り上げが激減。結局今年8月に全店を閉鎖することを決めた。日産自動車も5月、韓国からの撤退を発表した。韓国日産の従業員約40人とディーラーの従業員約200人は失業の危機だ。一時韓国のデジタルカメラ市場で首位だったオリンパスも今月末で韓国でのカメラ事業から撤退する。アサヒビール、ユニクロ、トヨタ自動車、ホンダなども韓国で最悪の不振にあえいでいる。
日本の徴用工問題がきっかけとして、日本が昨年7月に韓国への経済報復を発表してから1年になろうとしている。韓国の半導体、ディスプレー産業をターゲットとして、必須素材3品目の輸出を規制し、韓国国内では「反日」、日本では「嫌韓」のムードが広まった。韓国は日本の輸出規制に対し、第三国を通じたう回輸入、独自開発などで被害を最小化したと評価されている。しかし、互いに貿易相手国3位である韓国と日本の経済対立は勝者がないまま、双方に被害を及ぼしたと指摘されている。延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「韓日の対立が続けば、経済産業分野で互いに有意義な友軍を失う愚を犯すことになる」と警告した。
■韓日「経済鎖国」、両国に損害
日本の輸出規制以降、韓国に進出した日本企業は日本製品の不買運動で集中的な打撃を受けた。その間に韓国経済も直接、間接の被害が積み上がった。日本の韓国に対する直接投資は急減した。日本は毎年10兆-20兆円を海外に投資しているが、日本は韓日対立が本格化した昨年7月を基準にすると、韓国への直接投資が直前の9カ月(2018年10月-19年6月)の2626億円から直後の9カ月(19年7月-20年3月)の1333億円へと49%も減少した。昨年10-12月の直接投資は前年同期比で77%減となり、非製造業の投資はマイナス51億円となった。既存の投資を回収したためにマイナスとなったのだ。昨年の日本による海外投資は2487億ドルで第二次世界大戦以降で最高だった。それでも唯一韓国からは手を引いた。同じ期間に韓国の日本に対する直接投資も小幅減少した。過去に李明博(イ・ミョンバク)元大統領の独島訪問で韓日関係が最悪だった2012年にも見られなかった現象だ。
全国経済人連合会(全経連)のイ・ジェス地域協力チーム長は「日産のような企業が韓国で突然不振に陥り、撤退までする様子を見た日本資本が韓日関係を投資リスクと判断したとみられる」と指摘した。昨年の両国の貿易総額は760億ドルで、前年を10.7%下回った。ピークだった2011年(1079億ドル)に比べると30%も縮小した。
■コロナ危機でも依然強硬に対立
両国関係は新型コロナウイルスの大流行を経ても、解決の糸口が見えないどころか悪化の一途だ。
今年3月中旬、ウォン相場は十数年前の世界的な金融危機以降で最安値を記録した。韓国政府は米国と通貨スワップ協定を結び、韓国政府当局者は「韓日通貨スワップ」にも相次いで言及した。通貨スワップは通貨危機などの非常時に相手国に自国通貨を預け、相手国通貨を融通してもらう中央銀行間の契約だ。丁世均(チョン・セギュン)首相は「日本との通貨スワップも成立が望ましい」と述べ、李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行総裁は「日本との通貨スワップも意味があり、中銀間の協力を継続する」と表明した。コロナで為替相場の不確実性が高まる中、円はドルに次ぐ「第2の安全弁」だからだ。日本にとっても韓日通貨スワップにはメリットがある。コロナで業績が悪化した日本企業が海外資産を売り、現金保有を増やす動きを見せ、円高に対する懸念が高まっているからだ。8年間にわたり日本経済を支えてきた円安を守る上で韓日通貨スワップは役立ってきた。しかし、韓日政府による通貨スワップ交渉は行われていないという。双方にメリットがあるにもかかわらず、交渉すら始められずにいる格好だ。
安倍政権は6月18日、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国の企業関係者に対し、例外的に入国を認める方針を発表したが、韓国は除外された。経済の活性化という名分だが、実際には主な貿易相手国の韓国については、「韓国を認めるが入国者が増え過ぎる」という理由を挙げた。韓国政府も他国については原則的に入国を認めつつも、日本に対しては「ノービザ入国の無効化」を維持し、強硬な対立を続けている。
韓国5大企業グループの役員は「1年間『目には目を歯には歯を』という戦略で対立し、両国間の信頼はさらに悪化しつつある。両国はいずれも国際社会の信頼とイメージが低下する被害を受けた」と指摘した。
ソン・ホチョル記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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