米中が展開する「テクノロジー新冷戦」は過去の米国とソ連による冷戦とは様相が異なる。国境なき時代ゆえに従来型の兵器ではなく、次世代の新技術とソフトウエアを中心として、各分野のニューラルネットワーク(神経網)を掌握することで相手を制圧するやり方だ。米中は宇宙、軍事、知的財産権、データなど主要分野で二強体制を構築し、世界各国に「どちらの味方なのか」と問うている。
峨山政策研究院のシン・ボムチョル安保統..
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米中が展開する「テクノロジー新冷戦」は過去の米国とソ連による冷戦とは様相が異なる。国境なき時代ゆえに従来型の兵器ではなく、次世代の新技術とソフトウエアを中心として、各分野のニューラルネットワーク(神経網)を掌握することで相手を制圧するやり方だ。米中は宇宙、軍事、知的財産権、データなど主要分野で二強体制を構築し、世界各国に「どちらの味方なのか」と問うている。
峨山政策研究院のシン・ボムチョル安保統一センター長は「今回の貿易戦争は単純に5G(第5世代移動通信)やテクノロジーに関するものではなく、米中間の覇権戦争の一部だ。欧州・アフリカまで影響力を拡大している中国とそれを自国に対する挑戦と見なす米国による譲歩できない長期戦になる」と指摘した。
英エコノミスト誌は最近、「新たな形態の冷戦(A new kind of cold war)」と題する記事で、「覇権戦争によって、中国が米国の秩序に完全に従属するか、米国が押し出されて衰退する結果を迎える可能性がある」と報じた。ある外交専門家は「世界各国が隊列に加わり始め、全世界に目に見えない鉄のカーテンが再び生じる可能性が高まった」と指摘した。米ニューヨーク・タイムズと中国の人民日報などは現在の状況を「デジタル版の鉄のカーテン(digital iron curtain)」と表現した。
■米中による「デジタル版の鉄のカーテン」
中国通信設備大手、華為(ファーウェイ)への制裁をきっかけとして、世界は米中という2陣営に急速に分かれつつある。5日には習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が見守る中、華為がロシア最大の通信キャリアと5Gネットワークの構築契約を結んだことは象徴的だ。両首脳は10億ドル規模で共同の科学技術革新ファンドを創設することなど科学技術分野での協力はもちろん、農業、金融、貿易でも協力を強化していくことで一致した。
中国はロシアや新興国を中心に勢力を拡大している。習主席は14日から15日にかけ、キルギスタンの首都ビシュケクで開かれる上海協力機構(SCO)の首脳会議に出席し、インドのモディ首相をはじめ、加盟国の首脳と会談する計画だ。王岐山国家副主席は先月、パキスタン、オランダ、ドイツを相次いで訪問した。東南アジア各国も大半が中国に傾いている。マレーシア政府は4月、華為の5G設備を採用すると表明。タイも2020年までに5Gサービスを開始するため、華為と共同研究を進めている。アフリカ・中東・東欧の国々も華為の設備の導入に前向きだ。
米国はホワイトハウス幹部と同盟国に駐在する大使を中心として、各国に米国側に付くように圧力をかけている。米国のピーター・フックストラ駐オランダ大使は5日、オランダ政府に対し、華為の設備を使用しないようにと圧迫した。フックストラ大使はオランダで開かれた「グローバル起業家精神サミット」に出席し、「(華為の設備を使用することは)悪いことで、悪い考えであるばかりか、悪い方向だ」と発言した。「bad(悪い)」という単語を連発した。フックストラ大使は「システムが華為のものだと、中国政府がデータを持っていってしまう」とし、華為設備の導入を全面禁止するよう求めた。今年3月にはポンペオ米国務長官が欧州を訪問し、「反華為」の戦線に加わるよう求めた。日本、ニュージーランド、オーストラリアなどの伝統的な米国の同盟国は続々と「華為排除」に同調している。
■選択を迫られた韓国
30年近く続いた米国中心の多極化体制が崩れゆく現在の状況は韓国にとって決して有利ではないと言われている。米中どちらを選んだとしても、相手先の陣営の反発と政治的、経済的な損失を覚悟しなければならないからだ。米中は直ちに自分たちを支持するように露骨に要求している。時間を稼げば、両国の不満も高まる。国際貿易に詳しい梨花女子大法学専門大学院の崔源穆(チェ・ウォンモク)教授は「韓国政府は企業が商業的に華為と協力しようがしまいが中立的な立場を取るべきだ。新冷戦は過去の冷戦とは異なり、確実に勢力が分かれずに変化を伴い、不確実な面があるため、能動的に対処すべきだ」と主張した。ソウル大の金湘培(キム・サンベ)教授(外交学)は「伝統的な韓米同盟の枠組みを維持すべきだが、日本やオーストラリアのように米国側に完全に立つことは好ましくない。安全保障と実利を同時に考慮する英国のケースを参考にする必要がある」と指摘した。
朴淳燦(パク・スンチャン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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