日の丸に「蛮人(外国人)を追い出そう」という意味の「攘夷」(じょうい)の2文字が書かれた「のぼり」が掲げられた。防弾少年団(BTS)のコンサートが行われた13日、東京ドーム前でデモをした「日本暁乃会」のメンバーたちが掲げたスローガンだ。「攘夷」という単語は韓国人にも見覚えがある言葉だ。1894年に東学農民軍が日本の侵略に抵抗した時(東学党の乱)に掲げたスローガンが「斥倭攘夷」(日本を排斥して蛮人..
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日の丸に「蛮人(外国人)を追い出そう」という意味の「攘夷」(じょうい)の2文字が書かれた「のぼり」が掲げられた。防弾少年団(BTS)のコンサートが行われた13日、東京ドーム前でデモをした「日本暁乃会」のメンバーたちが掲げたスローガンだ。「攘夷」という単語は韓国人にも見覚えがある言葉だ。1894年に東学農民軍が日本の侵略に抵抗した時(東学党の乱)に掲げたスローガンが「斥倭攘夷」(日本を排斥して蛮人を追い出そう)だった。
今年は日本の大衆文化開放20周年に当たる年だ。1998年10月20日、韓国政府は日本の映画・漫画を開放すると電撃的な発表をした。そして、それから2006年まで番組・CD・ゲーム・アニメを全面開放した。「倭色(日本)文化は韓国の文化市場を急速にむしばむだろう」との懸念が強かった。しかし、20年が過ぎた今、日本側から「攘夷」というスローガンが出るほど劇的な逆転現象が起こっている。大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「1960年代に米国でビートルズが絶大な人気を呼んだ時に『ブリティッシュ・インヴェイジョン』(英国の侵略)と言われたように、「21世紀のビートルズ」と呼ばれるBTSを中心に韓流旋風が強まり、日本国内の危機意識が高まっているもの」と分析した。
■大衆文化の韓国流入恐れずグローバル戦略で疾走
「コンテンツの逆転」は音楽市場で最も際立っている。韓国音楽の対日輸出額は、最新の統計情報である2016年に2億7729万ドル(約312億8400万円)で、日本音楽の輸入額291万ドル(約3億2800万円)の約100倍に達する。ゲーム分野も大きく上回った。輸出額は6億ドル(約676億9200万円)で、輸入額5160万ドル(約58億2200万円)の10倍を上回る。「風の王国」=ネクソン=から「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ)=PUBG Corporation=まで韓国のオンラインゲームが日本のネットカフェを掌握した。放送界も同様だ。輸出額が輸入額の約12倍に達する。
今年11月にデビューした韓国初の韓日合作女性アイドルグループ「IZ*ONE」(アイズワン)は「逆転」の象徴的なケースだ。メンバー12人のうち3人はAKB48など日本の人気女性アイドルグループ出身。音楽チャンネルMnetのオーディション番組『PRODUCE 48』で韓国の練習生たちと、これまでの実績もかなぐり捨てて競い合い、デビューした。韓国の振付師にダンスの実力を指摘されるなど、過酷なレッスンを受けた。キム・ヨンボムCJ ENMチーフプロデューサーは「日本のアイドル育成システムをモデルにして出発した時のことを考えると、あり得ないことが起こったと言える」と言った。
専門家は「開放初期から大規模市場である日本をターゲットに積極的に対応したのが功を奏した」と言う。日本の音楽産業規模は57億3100万ドル(約6465億7100万円)で、米国の195億8800万ドル(約2兆2100億円)に次いで世界第2位だ。これは韓国の9億4500万ドル(約1066億1500万円)に比べ6倍大きい。大衆音楽評論家のキム・ジャッカ氏は「日本の女性アイドルグループは『育てて成長させる国民の妹』というイメージで自給自足の収益に力を入れてきたが、韓国は早くからグローバル市場に目を向けてきた。キレのいいフォーメーションダンスと語学力の高さで競争力をつけた」と話す。
ユーチューブやオンライン中心へと変わった音楽の消費方式も大きな役割を果たした。大手芸能事務所・SMエンターテインメントの関係者は「日本はもちろん、全世界に向けてすぐに新曲の音源を同時リリースできるようになったことで活動の制約がなくなり、成果も上がるようになった」と話す。今や日本の芸能事務所やテレビ局の宣伝・広報を頼りにしなくても、日本のファンたちが防弾少年団・Wanna One・TWICEなどK-POPアイドルの新曲プロモーションビデオ映像に歌詞を翻訳した字幕を付けてソーシャル・メディアで拡散させる。
「Tシャツ騒動」で浮上した嫌韓流ムードの中でも、防弾少年団の東京ドーム公演に10万人の観客が集まったのは「コンテンツの力」のおかげだ。米ジョージ・メイソン大学のイ・ギュタク教授は「グローバルな音楽トレンドをいち早く吸収し、パフォーマンスの実力まで持つアーティスト級のアイドルを誕生させるコンテンツという面では韓国が圧倒している」と評した。
韓日間の政治対立が大衆文化交流に影響を与えているものの、専門家たちは「韓日大衆文化は互いに『ウィンウィン』(win・win=双方に利益がある)関係が成り立つ最適のパートナー」と口をそろえる。文化評論家のハ・ジェグン氏は「K-POP全体の収益の半分以上を占める日本は、依然として開拓の大きなチャンスがある市場だ」と言った。
日本としても、韓国は世界市場開拓のための足がかりだ。日本の大衆文化評論家・古家正亨氏は「政治には政治の使命がある。文化はこれとは別に、市民交流次元のコミュニケーションを目指すべきだ」と語った。
ユン・スジョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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