京畿道安城市内の実家に来たチェさん(54)は、いつも通り家の前に止めた車を水ぶきしようとしたところ、ひどく怒鳴られた。近所のペさん(65)がチェさんを見かけて大声を上げたのだ。安城市は現在、農業用水の水不足が深刻な状況で、この地域では上水道の水を飲料水以外の生活用水に使うことを自主的に制限している。チェさんは「車の汚れがひどかったので水ぶきしようとしただけなのに、これほど神経質になっているとは思..
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京畿道安城市内の実家に来たチェさん(54)は、いつも通り家の前に止めた車を水ぶきしようとしたところ、ひどく怒鳴られた。近所のペさん(65)がチェさんを見かけて大声を上げたのだ。安城市は現在、農業用水の水不足が深刻な状況で、この地域では上水道の水を飲料水以外の生活用水に使うことを自主的に制限している。チェさんは「車の汚れがひどかったので水ぶきしようとしただけなのに、これほど神経質になっているとは思わなかった。15年間毎年、両親に会いに来ているが、地元の小川の水が干上がったのは初めて見た」と言った。
水不足が続いていることから、農村では住民の間で水をめぐるトラブルが頻繁に発生している。韓国農漁村公社によると、今年1月から今月14日までの降水量は全国平均187ミリメートルで、平年に比べて54%前後しかない。特に京畿道安城市、忠清南道瑞山市、忠清南道礼山郡などの貯水率は13-15%前後と極めて低い。
水不足のため、水の使い方をめぐって近隣住民のケンカも絶えない。安城市内で暮らすキム・ヒョンスクさん(56)は「この間、近所の人が家に遊びに来て『お皿をすぐ洗うんだね』とこちらの水の使い方を探るようなことを言ってきた。今は自分の家に他人を招き入れるのも用心しなくては。水不足でご近所同士の情も乾いてしまったようだ」と言った。この地域では先日、イさん(62)が隣の畑が干上がっているのに気付き、自分の家でためていた水をまいてやったところ、ほかの住民たちとケンカになったという。通りかかった住民たちが「水田に使う水もないのに畑に水をやるのか」と怒り出したというのだ。
忠清南道瑞山市では井戸掘りをめぐるトラブルが発生した。瑞山市では農業用水を確保するため地下水が使えるよう井戸設置費を支援した。同市では、比較的地下水が豊富な仁旨面山東里を大型井戸開発地域に選定したが、この水がほかの地域にも利用されることを知った農民たちが「うちの村の地下水がなくなる」と強く反発した。結局、「山東里井戸開発」は白紙になってしまった。忠清南道洪城郡では、自分の水田に先に水を引こうとしてケンカになった近隣農民の間で「水門争い」が発生、暴力ざたになった。
村長たちが腰を上げて、「水が足りないから生活用水をできるだけ節水してほしい。洗濯や皿洗いも自制してほしい」と村内放送をしたり、近所の住民同士で水の使用をけん制したりしている。特に、30-40世帯前後と規模が小さく、共同地下水を使用している村では、住民同士の監視が厳しい。地下水が干上がって断水すると、すぐに生活に大きな支障が出るためだ。
水不足が近いうちに解消されるという期待も薄い。気象庁では「今年の梅雨入りは遅く、水不足が8-9月まで続く」と予想している。韓国農漁村公社関係者は「できるだけ水不足の被害を減らす方法を考えているが、異常気象のために発生している事態だけに、節水以外には根本的な解決策がないのが実情だ」と語った。
安城=チェ・アリ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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