「ママ、僕食べた。ご飯を」
ソウル市瑞草区に住む主婦イムさん(36)は最近、小学1年生の息子と話していて驚いた。「学校で給食食べた?」と聞いたところ、息子が英語式の語順で答えたからだ。
イムさんの息子は5歳のときから英語幼稚園に通い、自宅でもできるだけ英語を使わせてきた。イムさんは「息子はいつも『今time何時?』という具合に英単語を混ぜて話すが、これまでは『英語が得意だから』としか思わなかった..
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「ママ、僕食べた。ご飯を」
ソウル市瑞草区に住む主婦イムさん(36)は最近、小学1年生の息子と話していて驚いた。「学校で給食食べた?」と聞いたところ、息子が英語式の語順で答えたからだ。
イムさんの息子は5歳のときから英語幼稚園に通い、自宅でもできるだけ英語を使わせてきた。イムさんは「息子はいつも『今time何時?』という具合に英単語を混ぜて話すが、これまでは『英語が得意だから』としか思わなかった。だが、韓国語の語順を知らないと気付いて戸惑った。このままでは『韓国語が話せない』とからかわれるのではと心配になり、慌ててキッズ・スピーチ教室に申し込んだ」と言った。
このところ「キッズ・スピーチ教室」に通う小学生が増えている。高級住宅地のソウル市江南区大峙洞や陽川区木洞一帯には小学生を対象としたスピーチ教室だけで十数カ所あり、1対1の個人レッスンやグループレッスンも盛んに行われている。以前「演説教室」が流行していたのと似ているが、その目的は違う。演説教室では雄弁に堂々と人前で語る技術や精神力を養うためのものだったが、スピーチ教室は韓国語の発音や語順を矯正するためのものだ。英語幼稚園や語学留学など幼いころから英語を頻繁に使う環境にさらされ、肝心の韓国語が正しく話せない子どもが増えているのだ。
日曜日だった9日午後1時ごろ、ソウル市瑞草区盤浦洞のスピーチ教室では、韓国語の発音を練習する声が響いていた。講師のイム・ソンハさん(29)が児童2人を座らせてハングルの母音と子音の発音表を読み上げていた。
この日教室に来た2人は韓国語を初めて習う小さな子どもではなく、小学1年生だった。キム・ミンホ君(7)=仮名=は「リウル(ラ行音を表す韓国語の子音)の発音が一番難しい。『ラミョン(韓国語でラーメンの意)』と言うと、友達に『アメリカ人みたい』とからかわれる」と言った。5歳の時から英語幼稚園に通い、英語の早期教育を受けたキム君は「ラミョン」を「ルワミョン」と発音する。
教室に来る小学生の多くは「リウル」を英語式の「r」や「n」で発音し、「シオッ(サ行音を表す韓国語の子音)」を「sh」の発音と混同するという。大峙洞のスピーチ教室代表は「『ソンセンニム、スオプヘヨ(先生、授業をしてください)』と言う時も、『sh』の発音が混ざり、『ションシェンニム、シュオプヘヨ』という。変な話だと思われるかも知れないが、スピーチ教室に通う子どもたちのほとんどがこういう状態で、深刻な問題だ」と言った。
英語幼稚園を卒園し、小学校に入ったばかりの子どもに教師たちも頭を痛めている。ソウル市内のある私立小学校で1年生の担任をしているキム先生(28)は「クラスの半数以上が英語幼稚園の卒園者で、そのうち3-4人は韓国語の聞き取りができず、授業についてこられない。子どもたちは『pink(ピンク)』は分かるが、韓国語の『プンホンセク(薄紅色)』は分からないし、好きな昆虫を聞くと『ladybug(てんとう虫)』と英語で答えられても、韓国語の『ムーダンボルレ(同)』が何であるかは知らない」と言った。
さらに、キム先生は「『自分の考えを言ってみて』と言うと、外国人のように「Um ...」と言いながら言葉に詰まる子も多い」と語った。小学2年生の男の子がいる主婦チャンさん(36)は「保護者会に先月行ったところ、うちの子が『Oh、my god(オー・マイ・ゴッド)』と英語の感嘆詞をよく使うので、ほかの子までまねするようになったと苦情を言われた。今、スピーチ教室を探しているところだ」と語った。
梨花女子大学幼児教育科のキム・スンファン教授は「母国語もしっかり身についていない幼児期に外国語を過度に教育すると、子どもが混乱して両方ともきちんと話せなくなる。母国語の語彙(ごい)や文の構造に十分慣れていないと、将来的にも上級の英語は話せない」と注意を促した。
イ・スルビ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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