フランスのレストラン評価本「ミシュランガイド東京・横浜・湘南2012」で、東京にある「モランボン神宮前」が韓国料理店としては初めて二つ星を獲得した。同店は2009年に東京・渋谷にオープンした高級韓国料理店で、3部屋、全20席の完全予約制。メニューは、1人1万2000円-1万8000円のコース料理だけとなっている。
韓国宮廷料理の専門店だが、韓国人従業員はいない。同店を経営するモランボン株式会社..
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フランスのレストラン評価本「ミシュランガイド東京・横浜・湘南2012」で、東京にある「モランボン神宮前」が韓国料理店としては初めて二つ星を獲得した。同店は2009年に東京・渋谷にオープンした高級韓国料理店で、3部屋、全20席の完全予約制。メニューは、1人1万2000円-1万8000円のコース料理だけとなっている。
韓国宮廷料理の専門店だが、韓国人従業員はいない。同店を経営するモランボン株式会社の全平烈(ジョン・ピョンヨリ)社長(53)は「韓国料理を日本人により正確に知ってもらうには、日本人が韓国料理を研究し、説明するのが効果的だと考えた」と話した。部屋にはモニターや簡単な調理場を設置し、客が希望すれば従業員や料理人が韓国料理の由来・食材・調理法などについて説明する。「一種の韓国料理プレゼンテーション。このサービスを続けているうちに、ミシュランガイドに掲載されたレストランのシェフや社長たちも頻繁に訪れるようになった」
全社長は「日本に韓国料理を紹介したいと考えていた父(全鎮植〈チョン・ジンシク〉さん、1995年死去)の努力がミシュランで評価されたのだろう」と語った。慶尚南道固城郡出身の全鎮植さんは、渡日後にスーパーマーケットやパチンコ事業を展開、韓国料理を日本に紹介するため、70年代に韓国料理店と韓国料理学校を創設した。父が開発し79年に発売された韓国式焼き肉のたれ「ジャン」は、日本の食肉文化を変えたと言われるほど大ヒットし、その後は類似製品が数多く出回った。
全社長の姉・京華(ギョンファ)氏(56)も日本で有名な韓国料理専門家だ。父が開設した料理学校の講師として活動し、NHKの料理番組『きょうの料理』で韓国料理を紹介するなど、テレビや雑誌を通じ韓国の食文化を広めてきた。韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』が日本で放送される際には料理用語の監修を務め、これまでに出版した韓国料理本も数十種類に及ぶ。現在は「ジョン・ギョンファスタジオ」という料理教室で後継者の育成に努めている。
モランボン神宮前のシェフ小向実氏は、全社長の父が開設したモランボン調理師専門学校の第1期卒業生だ。小向氏は旬の食材の繊細な味を生かすと評判だ。全社長は「日本人は韓国料理を全て辛いものと考えており、宮廷料理を食べて『韓国料理に辛くないものがあることを初めて知った』と言う人が多い。唐辛子は17世紀に韓国に入ってきたもので、伝統的な宮中料理は辛くなかった」と語った。モランボン株式会社は日本で焼き肉のたれ、冷麺、チャプチェ(韓国風春雨と野菜のあえ物)などの韓国料理用食材を販売している。従業員は約700人で、年間売上高約170億円を誇る企業だ。
全社長の父・全鎮植さんは、その兄・演植(ヨンシク)さんと共に「さくらグループ」を創業した。さくらグループはパチンコやスーパーマーケットを経営する企業グループで、日本の競馬界ではその所有馬が数十回優勝していることでも有名だ。さくらグループはかつて、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を代表する企業と言われていた。全演植さんは朝鮮総連副議長や北朝鮮の最高人民会議議員などを務め、在日韓国・朝鮮企業の北朝鮮進出を主導した。
全社長は「創業者である父と伯父は北朝鮮との合弁事業を行っていたため朝鮮総連と関係があったが、今では北朝鮮とは関係しておらず、韓国に支社を出すなどして韓国で事業を拡大している」と説明した。2004年には韓国に「モランボン・コリア」を設立した。
ミシュランガイドは、調査員が客を装い対象のレストランを年に5-6回訪れ、レストランに星(最高三つ)を付けて評価する。全社長は「ミシュランガイドの評価方法も知らなかった」と語った。「ミシュランガイド東京・横浜・湘南2012」では、モランボンのほか東京都港区にある韓国料理店「千の花」(32席)と、新宿区にある「松の実」(32席)も一つ星の評価を受けた。
農林水産部(省に相当)は17日、ミシュランガイドに新規登録された韓国料理店3店と、韓国料理講座を開設した服部栄養専門学校に功労牌を授与した。
車学峰(チャ・ハクポン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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