▲憲法裁判所による尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領罷免の決定についてソウル汝矣島の国会でコメントし、頭を下げる韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表。4日撮影。/news1

 憲法裁判所は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領罷免を決定したが、その際に国会で多数の議席を持つ野党・共に民主党の過度な弾劾訴追や立法権の乱用にも言及し、「国会の権限行使が国政まひをもたらした」とする尹大統領の判断も尊重すべきとの見解を示した。憲法裁判所は「異例ともいえる多くの弾劾訴追、憲政史上初の国会予算決算特別委員会での増額なしの減額が野党単独で可決した」「尹錫悦政権の主要な政策は野党の反対で実行できなかった」と指摘した。

【写真】尹大統領罷免で歓呼しながら行進する市民

 憲法裁判所は「(これらを理由に)尹前大統領は野党の専横で国政がまひしたと認識し、これを打開する必要性に大きな責任を感じたようだ」との見方を示した。しかし憲法裁判所は「多数の議席を占める政党の専横や横暴があったとしても、これは民主主義の原理により解決すべきだった」と指摘し、「尹大統領は違法な戒厳令宣布で国家緊急権を乱用した」と判断した。

 共に民主党は尹錫悦政権の2年11カ月間に弾劾訴追案を30件提出し、うち13件を一方的に可決して憲法裁判所に送った。さらに大統領の職務停止期間中も大統領権限代行を弾劾し、代行の代行に対する弾劾訴追案まで提出した。憲法裁判所が結論を出した10件の弾劾訴追案のうち、尹大統領を除く9件は全て棄却だった。尹大統領が拒否権を行使した41の法案は全て共に民主党が単独で可決したものだ。憲法裁判所は「国会は少数意見を尊重し、政府との関係において寛容と自制、対話と妥協の努力をすべきだ」「大統領も国会を協治の対象として尊重すべきだった」と指摘した。尹大統領の非常戒厳令宣布は重大な違法行為だが、共に民主党の横暴と専横も民主主義に対する脅威になったと判断したのだ。

 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は憲法裁判所の宣告直後「私自身を含む政界全体が深く省察し、責任を痛感すべきだ」と述べた。しかし共に民主党の反民主的暴走はほぼ全て李在明代表自らの防弾目的だった。尹大統領がいない今、この国で最も痛切に反省し、責任を痛感すべきは李在明代表だ。

 今この瞬間にも共に民主党の一部からは自分たちが占領軍にでもなったかのような歓喜の声が聞こえてくる。韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行と崔相穆(チェ・サンモク)副首相に対する報復性の弾劾にも言及している。実に嘆かわしい事態だ。

 今後新しい政権が発足するまで、韓悳洙代行体制が米国のトランプ政権による関税政策や安全保障上の危機に対処するしかないが、同時に共に民主党が大きな責任感を持って国政の一つの軸を担わねばならない。そのためには占領軍のように振る舞うのではなく、国家的な不幸を引き起こしたことへの責任感をまずは持つべきだ。共に民主党が国益を優先するか、自分たちの権力欲を前面に出すかは国民が今この瞬間から冷静に評価を下すだろう。

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