政治総合
「国家緊急権を乱用」 韓国憲法裁、尹錫悦大統領を罷免
韓国憲法裁判所が4日、裁判官8人の全員一致で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免を決定した。文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁所長権限代行が同日午前11時22分、「被請求人 大統領・尹錫悦を罷免する」という主文を読み上げた瞬間、尹錫悦氏は大統領の職を失った。
【図】尹大統領の弾劾審判での憲法裁判官8人の判断
これで尹錫悦氏は2022年5月10日に就任して3年もたたずして大統領の座を去ることになった。昨年12月3日の非常戒厳宣布から122日、同月14日に弾劾訴追案が国会で可決されてから111日目のことだ。憲法裁判所が現職大統領の弾劾訴追を認めたのは、2017年の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領=当時=に続いて2回目だ。
憲法裁判所は「非常戒厳宣布」「軍や警察を動員した国会活動妨害」「布告令発令」「選挙管理委員会掌握の試み」「法曹関係者に対する位置確認の試み」という5つの弾劾事由すべてに対し、尹大統領が憲法と法律において重大な違反を犯したと判断した。憲法裁判所は「大統領は野党の専横により国政がまひし、国益が著しく阻害されていると認識し、これを何とか打開しなければならないという重大な責任を感じるようになったとみられる」としながらも、「国会は政府との対話・妥協に向けて努力し、大統領は国会を協治対象として尊重すべきだった」と述べた。そして、「憲法と法律に違反して戒厳を宣布することにより、国家緊急権乱用の歴史を再現して国民を衝撃に陥れ、社会・経済・政治・外交の全分野に混乱を引き起こした」「大統領の違憲・違法行為は国民の信任を裏切ったものであり、憲法守護の観点から容認できない重大な法違反行為だ」と述べた。その上で、「大統領の法違反行為が憲法秩序に及ぼした否定的影響と波及効果は重大なため、大統領罷免によって得られる憲法守護の利益の方が、大統領罷免に伴う国家的損失よりも圧倒的に大きい」として弾劾を認めた。
宣告後、尹錫悦氏は弁護団を通じ、「これまで大韓民国のために働くことができて、非常に光栄でした。いろいろと至らない私を支持し、応援して下さった皆様に深く感謝申し上げます。皆様のご期待に応えられず、誠に残念で、申し訳ありません」とコメントした。
大統領権限代行を務める韓悳洙(ハン・ドクス)首相は「国家安保と外交に空白が生じないようにし、通商戦争などの懸案対処に支障がないようにする」「次の政権が支障なく発足できるよう、次期大統領選挙の管理に最善を尽くす」と述べた。
ソン・ウォンヒョン記者、金耿必(キム・ギョンピル)記者