▲イラスト=UTOIMAGE

 1歳4カ月の幼児が顔にキスされてヘルペスウイルスに感染し、片方の目の視力を失うという出来事が英国で発生した。英メディアのメトロが10日(現地時間)に報道した。

 報道によると、ナミビア出身のミシェル・サイモンさん(36)の息子ジュワンちゃん(当時1歳4カ月)は昨年8月、左目がひどく充血したという。軽い結膜炎だと思っていたミシェルさんがジュワンちゃんを病院へ連れて行ったところ、診断結果は予想に反して深刻だった。医師たちは、ジュワンちゃんが単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染していると診断した。HSVとは一般的に「ヘルペス」と呼ばれ、口唇ヘルペスを起こしたり、性器ヘルペスを誘発したりする感染力が強いウイルスだ。

 医師たちは「口の中にヘルペスウイルスを保有している誰かがジュワンちゃんの顔にキスをした可能性が高い」と分析した。ジュワンちゃんの両親は同ウイルスの保有者ではなかったため、ウイルスを持つ人物がジュワンちゃんの顔にキスをしたために感染したものとみられる。

 ジュワンちゃんは左目の視力を失ってしまったが、幸いにも感染が脳やもう片方の目にまで広がることはなかった。ジュワンちゃんは現在、羊膜移植手術を終えた状態で、まもなく足の神経を目に移植する大きな手術が行われるという。手術が成功すれば視力回復の可能性がある。母親のミシェルさんは「私たち夫婦はヘルペスウイルス保有者ではないので、誰かにキスされて子どもが感染したと知ってショックを受けた」「誰かが悪意を抱いてしたことではないと思うが、子どもにとっては本当に過酷な体験だ」と、注意を呼びかけている。

 専門家らは「乳幼児の免疫システムは未成熟であるため、顔にキスしたり、手で触ったりすることで危険に陥る可能性がある」と警告している。英レスター大学のプリムロス・フリーストーン教授(臨床微生物学)は「乳幼児はヘルペスウイルスなど各種の病原菌に感染しやすい可能性がある」「できるだけ顔にキスしないことだ。どうしてもキスしなければならないなら、足や後頭部にするのが安全だ」と助言した。

 新生児の免疫システムは成人よりもはるかに弱い。ヘルペスだけでなく、連鎖球菌、大腸菌、肺炎菌など感染性バクテリアにも脆弱(ぜいじゃく)で、特に生後3カ月以内の新生児は免疫細胞が不足しているため、感染が早く進むことがある。そうした状況であるのにもかかわらず、多くの親や大人たちはこうしたな危険性を認識していない。英国のチャリティー団体「子守歌トラスト」がこのほど発表した調査結果によると、妊産婦の54%が感染の危険性を十分に認識していないまま、家族や友人が新生児にキスすることを許可していることが分かった。

 専門家らは「乳幼児を持つ親は、他人が自分の子どもにキスしたり、触ったりしないように言わなければならない」と強調する。また、「感染の危険性を減らすため、乳幼児がいる家を訪問する人々は必ず手をきれいに洗い、感染症の症状があれば訪問を自粛すべきだ」と助言した。

ミン・ソヨン記者

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