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訴追された公職者たちは自腹なのに…韓国国会の大量弾劾、共に民主のお抱え弁護士たちは連戦連敗でもウハウハ【独自】

昨年5月に始まった第22代国会が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領など韓国政府高官9人を憲法裁判所に弾劾訴追したことに伴い、国会側の法律代理人として弁護士35人(重複あり)を選任したことが11日に分かった。国会側の法律代理人受任料は全て税金で充当されており、昨年から今年までにおよそ3億6000万ウォン(現在のレートで約3700万円)が用いられた。これは、尹錫悦政権発足後に進歩(革新)系野党「共に民主党」が主導して強行処理した弾劾訴追案13件のうち、22代国会になって可決された9件を分析した結果だ。代理人1人当たり1000万ウォン(約102万円)前後を税金で支払ったことになるが、半数以上が野党寄りの法曹関係者だという分析が出ている。尹錫悦政権発足後、国会は民主党主導で29回にわたり政府公職者らに対する弾劾訴追案を発議したが、憲法裁で弾劾が認められたケースは1件もない。

国会事務処が保守系与党「国民の力」の申東旭(シン・ドンウク)議員に提出した資料を本紙が分析した結果、国会側の弾劾訴追代理人35人のうち22人(62.9%)が親野党系の人物と判明した。民主党関連の党務を遂行したり文在寅(ムン・ジェイン)政権で公職に就いていたりした弁護士が13人、民主社会のための弁護士会(民弁)出身であったり参与連帯などで仕事をしたことがあったりする弁護士は9人だった。逆に、国民の力の党職を務めたことがあったり保守系団体などで活動したことがあったりする親与党系弁護士は5人(14.3%)だった。これといった党派的活動が確認できない法曹人は8人(22.9%)だった。
政界や法曹界からは「尹錫悦政権発足後の国会による相次ぐ弾劾が、野党寄りの法曹人の稼ぎ口になった」という批判の声が上がった。民主党が公職者の弾劾訴追を主導し、憲法裁の弾劾審判の過程で親野系弁護士に国会側代理人を任せるケースが相対的に多くなっているのだ。これに関連して国会事務処は、国会側法律代理人の受任料の細かな内訳は「公共機関の情報公開に関する法律」によって非公開の対象だとした。申東旭議員は「一度も認められたことがない連続弾劾を繰り返し請求するにとどまらず、『民主党式カルテル』に国民の血税を投入している」と語った。
■国会の弾劾代理人団に李代表の特別補佐や民弁会長…
李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長は昨年8月、就任からわずか2日で民主党の主導により国会で弾劾訴追されたが、今年1月に憲法裁判所で棄却決定を受けた。国会側は、李委員長の弾劾審判を遂行すべき国会側法律代理人として林潤泰(イム・ユンテ)、張朱煐(チャン・ジュヨン)、鄭景旭(チョン・ギョンウク)弁護士を選任した。林弁護士は先の韓国大統領選挙で民主党の李在明(イ・ジェミョン)候補の法律特補を務め、昨年4月の第22代総選挙では京畿道南揚州甲選挙区の民主党予備候補として登録した。民弁会長出身の張弁護士は、文在寅政権時代に政府法務公団理事長を務めた。張弁護士は国民の力の副スポークスマン出身だ。
国会は尹錫悦大統領の弾劾審判の国会側代理人として朴赫(パク・ヒョク)、李錦揆(イ・グムギュ)弁護士を選任した。朴弁護士は2020年の第21代総選挙で民主党選挙管理委員会副委員長を務めたのに続き、21年には民主党倫理審判院長に選任された。また民主党は昨年10月、金建希(キム・ゴンヒ)家族不正および国政壟断(ろうだん、利益を独占すること)究明審判本部」を立ち上げたが、このとき李弁護士は諮問委員の委嘱を受けたという。李弁護士は昨年12月、「尹錫悦の内乱行為に対する慰謝料請求訴訟準備の会」を最初に提案し、16年の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領弾劾審判時も国会側代理人団に参加した。
文在寅政権の大統領府で反腐敗秘書官を務めた李元九(イ・ウォング)弁護士、法務秘書官を務めた徐尚範(ソ・サンボム)弁護士はそれぞれ朴性載(パク・ソンジェ)法相と尹大統領の弾劾審判における国会代理人団で活動している。文在寅政権の公職者倫理委員長を務めた金二洙(キム・イス)弁護士、国家人権委員長に任命されていた宋斗煥(ソン・ドゥファン)弁護士も尹大統領弾劾審判の国会側代理人に加わっている。同じく尹大統領弾劾審判の国会側代理人を務める李光範(イ・グァンボム)弁護士は、進歩系判事の集まりである「ウリ法研究会」の創立メンバーで、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の「内谷洞私邸敷地購入疑惑」を捜査した特別検事出身だ。さらに、李弁護士が代表を務める法務法人「LKB」所属の弁護士だけでも5人が国会側代理人団に入っている。
国会事務処は、弾劾審判に関連して国会側代理人に支払った受任料の細かな内訳を公開していない。ただし、国会事務処が公開した「年度別弾劾審判受任料執行額」によると、国会は昨年以降、これまでに代理人受任料として3億6124万ウォン(約3690万円)を使った。単純計算で、代理人1人当たりおよそ1032万ウォン(約106万円)を支払ったのだ。
イ・セヨン記者