社説
共に民主党による3年間で30回目の弾劾案、これこそ合法を装った内乱行為ではないのか【3月12日付社説】

韓国野党・共に民主党は沈雨廷(シム・ウジョン)検察総長(検事総長に相当)に対して弾劾をちらつかせながら今も圧力を加えている。弾劾案提出の時期は党執行部に一任するようだが、現状ではいつでも可能なようだ。共に民主党が沈雨廷総長の弾劾案を提出すれば、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後30回目となる。1948年の大韓民国政府樹立以来、提出された弾劾案(21件)よりもここ3年間の方が弾劾案の件数は多い。間違いなく世界記録だろう。
提出された弾劾案のうち、国会で一方的に採決され可決したのは13件だ。大統領権限代行と監査院長も相次いで弾劾訴追され、韓国行政安全部(省に相当)の李祥敏(イ・サンミン)長官は2回も弾劾案が提出された。いずれも過去に例のない事態だ。韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行に対する弾劾案は定足数が明確でない状態で一方的に可決した。韓悳洙代行は戒厳令に反対したにもかかわらず、内乱に同調した容疑を押し付けたのだ。憲法裁判官任命を保留したことで、李在明(イ・ジェミョン)代表のための早期大統領選挙の障害になると考えたからだろう。
共に民主党は崔相穆(チェ・サンモク)権限代行に対しても憲法裁判官任命を要求し何度も弾劾をちらつかせている。それ以外の国務委員(閣僚に相当)らにも「全員が弾劾対象だ。しっかりと弾劾してやる」と脅迫した。非常事態の渦中に内閣に対してこのような脅迫を行っているのだ。韓国放送通信委員会は委員長や職務代理4人に対する連続弾劾案提出で174日にわたり業務がまひした。
弾劾を行うには重大な違憲、違法行為が前提になる。ところが共に民主党の弾劾案はこれらの法的要件を満たしていない。李東官(イ・ドングァン)元放送通信委員長の弾劾案には具体的な法律違反の内容がなく、また検事の弾劾案はコピーして貼り付けたものだった。李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長は就任から2日で何の業務もしない状態で弾劾訴追された。
李在明(イ・ジェミョン)代表を捜査した検事らは未確認のうわさや一方的な主張、嫌疑なしと結論が出た事件などで訴追された。被告が捜査を無力化するため弾劾を行ったのだ。検事がうそを言ったとの主張が事実に反していたため、後から弾劾理由を変更した。憲法裁判官らが「却下されるだろう」と伝えると、共に民主党は憲法裁判所に対して「証拠を探せ」と要求した。最終的に4件の弾劾案は全て棄却された。言葉は弾劾訴追だが、実際は法律を悪用した政治暴力だ。
他人を処罰し懲戒するため虚偽の内容で告訴・告発した場合は虚偽告訴罪となる。共に民主党による政略的弾劾の乱発は当事者に被害をもたらすだけでなく、国政をまひさせ、司法の機能まで妨害する点で最悪の虚偽告訴行為だ。これを30回にわたり繰り返しているのだ。
共に民主党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を内乱容疑で弾劾訴追したが、自分たちが行った連鎖弾劾はそれに劣らず深刻な国憲紊乱(びんらん)行為であることを知るべきだ。李在明代表を守るため条件を満たさない弾劾案をごり押しし、数々の立法暴走で国政の足下をすくっている。これこそ国会で多数の力を前面に出した合法を装った内乱行為ではないのか。世界のどの国でこんなケースがあるだろうか。