▲金世煥(キム・セファン)元中央選挙管理委員会事務総長 ▲金世煥(キム・セファン)元中央選挙管理委員会事務総長

 韓国中央選挙管理委員会の金世煥(キム・セファン)元事務総長(長官級)が、息子の地域選管採用過程で、面接担当者を自身と親しい人物に交代させるよう指示していたことが10日、確認された。この面接担当者は別の面接担当者に対して志願者が金世煥・元事務総長の息子であることを知らせ、息子は最終的に合格した。金世煥・元事務総長は息子が地域選管に採用された後、上級機関に異動する時も、部下の職員に「息子の世話をしてほしい」と指示し、息子が勝手に賃借契約したオフィステル(住居兼オフィス物件)を選管に「官舎」として承認させ、家賃を支払わせていた、というのが検察の捜査結果だ。「選管世襲」不正が明らかになったものだ。

■親しい面接担当者に交代させて息子を採用

 金世煥・元事務総長は昨年12月、職権乱用および国家公務員法違反で起訴された。法務部(省に相当)が与党・国民の力の朱晋佑(チュ・ジンウ)議員室に提出した金世煥・元事務総長の起訴状によると、元事務総長は中央選管の事務次長だった2019年11月、仁川市選管が告示する前にキャリア採用を行うことを知り、当時の仁川市選管総務課長に電話して「告示文・計画書があれば送ってほしい」「今回、うちの息子が受験しようとしているので、よろしく頼む」と言った。こうして金世煥・元事務総長は志願書や自己紹介書の様式などを事前に受け取った。

 金世煥・元事務総長の息子が志願書を提出すると、仁川市選管の関係者たちは志願者が誰なのか把握したという。仁川市選管では公正性を図るため、面接担当者を外部から選任するかどうか協議したが、最終的に中央選管の意見により内部の人物から選ぶことにした。その後、金世煥・元事務総長は仁川市選管の総務課長に会い、自身と親しい仁川市選管の選挙課長を面接担当者に入れるよう指示した。そして、「(選挙課長に)私に電話するように言ってくれ」とも述べた。

 選挙課長は同年12月に行われた面接過程で、他の面接担当者たちに「金という名字で、(仁川市)江華出身で、中央選管の職員といえば誰だ?」と言い、受験した人物が金世煥・元事務総長の息子であることを告げた。金世煥・元事務総長の息子は最終的に合格し、2020年1月から仁川市選管傘下の江華郡選管で勤務した。

■採用後も続く「パパ・チャンス」

 この息子は選管採用後も「パパ・チャンス(父親のコネ)」が続いた。金世煥・元事務総長は2020年11月、仁川市選管の総務課長に「息子の外部教育が終わったら、江華郡選管に戻らず、すぐに仁川市選管に移れるようにしてほしい」と話した。仁川市選管はこれより前の同年7月、「江華郡選管で少なくとも3年間勤務しなければ、上級機関である仁川市選管への異動を申請できない」という規定を設けていた。ところが、仁川市選管の総務課長は部下職員に異動志願資格を「勤続3年」から従来の「勤続1年」に引き下げるよう指示した。 2020年1月から江華郡選管で勤務していた金世煥・元事務総長の息子が異動を志願できるようにしたのだ。息子は同年12月、志願者4人のうち2位で選抜された。

■オフィステルの家賃も選管が支給

 金世煥・元事務総長は息子の転入審査が始まる前の2020年11月末、仁川市選管の総務課長に「(息子が)官舎に入居できるようにしてほしい」と指示したことも調査で分かった。江華郡から仁川市内までの通勤は難しいというのが理由だった。仁川市選管の官舎に空き部屋がないとの報告を受けた元事務総長は、中央選管施設課長に電話し、「仁川市選管に官舎を割り当てられる方法を調べよ」と指示した。

 金世煥・元事務総長の息子は中央選管が官舎の追加割り当てを決める前の同年12月25日、自身の名義でオフィステル賃借契約を結んだという。保証金300万ウォン(現在のレートで約30万円)に家賃35万ウォンという条件だった。契約書には「家賃は仁川市選管が支払う」という特約条項も盛り込まれていた。3日後、金世煥・元事務総長は仁川市選管総務課を訪れ、契約書を渡して「賃借官舎」にするよう要求した。その後、中央選管の承認を受けた仁川市選管は12月29日、賃借人の名義を仁川市選管に変え、息子の契約を引き継いだ。ところが、このオフィステルは先順位根抵当8400万ウォンが設定されている「危険物件」だった。保証保険加入が難しく、その後保証金を用意できない可能性もある状況だったが、中央選管を経て官舎として使用することが承認されたのだ。

 朱晋佑議員は「選管の不正腐敗の一端を示す事例だ。徹底した捜査を通じ、不正を明らかにしなければならない」と述べた。

イ・ミンジュン記者

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