▲ソウル汝矣島の国会で開かれた野党5党による非常時局共同対応円卓会議で発言する共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表(左から3人目)。9日撮影。/NEWSIS ▲ソウル汝矣島の国会で開かれた野党5党による非常時局共同対応円卓会議で発言する共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表(左から3人目)。9日撮影。/NEWSIS

 韓国野党・共に民主党は沈雨廷(シム・ウジョン)検察総長(検事総長に相当)の辞任を要求し、拒否した場合は弾劾を進めると表明した。職権乱用容疑で高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に告発する計画も明らかにした。裁判所による尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領勾留取り消し決定に対し、即時抗告をしなかったのがその理由だ。

 検察は即時抗告について内部で検討を行ったが、沈雨廷総長は「裁判所の決定を尊重すべきだ」として尹大統領の釈放を指示した。「勾留執行停止の決定に対する即時抗告は違憲」とする2012年の憲法裁判所の判断も考慮したという。司法の決定を受けた判断だが、これに対して共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「検察による(意図的な)計画」と批判し、共に民主党は検察に対し「内乱首謀者の手先」と非難し弾劾をちらつかせた。共に民主党の議員総会では議員らが、崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行による馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官候補の任命先送りを問題視し、崔相穆代行の弾劾を求める声も相次いだ。

 共に民主党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、これまで29件の弾劾訴追案を提出し、13件を成立させた。李在明代表を捜査した検事らやソウル中央地検長を相次いで弾劾訴追し、文在寅(ムン・ジェイン)前政権の不正を監査した監査院長、放送政策を担当する放送通信委員長らも弾劾訴追し職務を停止させた。また大統領権限代行を務める韓悳洙(ハン・ドクス)首相まで弾劾訴追することで、国政をまひ状態に追い込んでいる。

 ところがこれらの弾劾審判で憲法裁判所の決定が下されたものは全て棄却された。就任から2日で弾劾訴追された放送通信委員長を含め、どれも最初から棄却が予想されていた。共に民主党も実際に弾劾が認容されるとは期待していなかったはずだ。

 弾劾の要件に相当せず、理由さえ明確でない常習的な弾劾案の提出は刑事上の虚偽告訴罪に相当する可能性がある。弾劾訴追された公職者らは個人で弁護士選任費用を負担するが、国会は数億ウォン(数千万円)の税金を使い、主に革新系弁護士団体「民主社会のための弁護士会(民弁)」所属の弁護士らを雇用している。李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長は「国会議員が自費で弁護士費用を払うとしたら、軽々しく弾劾訴追するだろうか」と指摘した。理にかなった発言だ。

 このように常習的な弾劾訴追により政府の機能をまひさせ、今度は検事総長や大統領権限代行の代行まで職務を停止させる弾劾カードをまたもちらつかせた。もはや「連鎖弾劾病」と言っても過言ではない。

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