▲憲法裁判所で開かれた李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員会委員長に対する弾劾審判/ニュース1

 韓国放送通信委員会の李真淑(イ・ジンスク)委員長に対する国会の弾劾訴追案を憲法裁判所が棄却した。弾劾案が可決されてから174日後だ。裁判官8人の賛成反対は4対4に分かれた。文在寅(ムン・ジェイン)前政権当時、野党などが推薦した進歩(革新)系裁判官4人が弾劾に賛成したのだ。

 李真淑委員長弾劾訴追は野党・共に民主党がMBC放送などを自分たちの側にとどめる目的で政略的にごり押しした。共に民主党は李真淑委員長の就任前から弾劾を予告していた。これだけでもこの弾劾の不当性は誰の目にも明らかだ。実際に共に民主党は李真淑委員長就任から2日後に弾劾訴追した。「放送通信委員会2人体制」で公営放送理事選任を議決したことが理由だった。しかし放送通信委員の推薦を先送りし2人体制としたのは共に民主党だった。自分たちが作った仕組みで業務に当たったことが違法だというのだ。その前に2人の放送通信委員長が共に民主党による弾劾強迫で自ら辞任し、影響でその間に予定されていた141の放送局に対する再認可が通らなかった。共に民主党の横暴はもっと早くから止めるべきだった。

 憲法裁判所はこのような政略的弾劾案の審理を5カ月以上引き延ばした。高位公職者に弾劾という重大な処罰を下すにはその違法性が明確でなければならない。ところが放送通信委員会2人体制については法律の規定そのものが曖昧で、争いの余地は存在する。しかも2人体制としたのは李真淑委員長ではなく共に民主党だ。当時放送通信委員会は2人体制でも主要な業務はできるとする法律面での諮問も受けていた。逆に何もせず放送に問題が生じていれば職務怠慢になりかねない状況だった。

 共に民主党は放送通信委員だけでなく憲法裁判官3人の推薦も先送りし、憲法裁判所までまひさせようとした。その際に憲法裁判所は「裁判官が7人以上いなければ事件を審理できない」とする憲法裁判所法の条項を停止させ、6人体制で審理を行った。その憲法裁判所裁判官たちが放送通信委員会に対しては「2人体制での業務は違法」との見解を示したのだ。だとすれば憲法裁判所裁判官4人も自ら違法行為の当事者にはならないのか。

 李真淑委員長弾劾に賛成した文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長代行は共に民主党に対し「放送通信委員3人を推薦する義務があるが、1年以上推薦しなかったのは法律違反ではないのか」と指摘した。「放送通信委員会は仕事をするなというのか」との指摘もあった。ところが李真淑委員長が2人体制で業務に当たったことは違法として弾劾に賛成した。全くもってつじつまが合わない。裁判官は法治ではなく政治をやっているのだ。

 今憲法裁判所には大統領、首相、長官、検事の弾劾案や政治的権限争議事件が山積みになっている。裁判官たちが政治偏向的な判断を下せば、その公正性を認めない国民が増え、憲政そのものが危機的状況に追い込まれかねない。

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