期待されていた満場一致ではなかったが、世界の野球界で伝説になるには何の問題もなかった。イチロー(鈴木一朗)氏(52)がアジア人選手として初めて米プロ野球大リーグ(MLB)の殿堂入りを果たした。候補資格を得た1年目に99.75%の支持(394票中393票)を得ての殿堂入りで、満場一致に1票足りなかった。得票率(小数点以下2けたまで)では歴代2位に当たる。全米野球記者協会(BBWAA)は22日(韓国時間)、イチロー氏の米野球殿堂入りと共に、「元投手CC・サバシア氏(得票率86.8%)とビリー・ワグナー氏(82.5%)も共に殿堂入りを果たした」と伝えた。

 イチロー氏は2001年、27歳の時にMLBの舞台に初めて立った。アジア人選手のうち投手以外の野手としては初めてだった。日本プロ野球(NPB)で9年間プレーし、平均打率3割5分3厘、1278安打、118本塁打、199盗塁を記録し、7年連続パ・リーグ打撃王に輝いて注目を集めたが、格上のMLBでも通用するのかどうかには疑問符が付けられていた。しかし、それは杞憂(きゆう)だった。大リーグデビュー1年目にプレーしたシアトル・マリナーズで打率3割5分、242安打、56盗塁をマークし、アメリカン・リーグ(AL)新人賞と最優秀選手(MVP)を同時にさらった。すばらしい活躍ぶりだった。2004年にはシーズン262安打を放ち、MLBの1シーズン最多安打記録を塗り替えた。この記録は今も破られていない。10年連続打率3割で200安打以上を放ち、「安打製造機」としての名声を確固たるものとした。38歳になる年の2011年、初めて打率が3割を切り、その後は数字が下降傾向になったが、46歳になる年の2019年までMLBでプレーした。大谷翔平(30)ら日本の後輩選手たちにとってイチロー氏は手本であり、英雄だった。2019年に最も長くプレーしたマリナーズのユニホームを着て、東京ドームで引退式を行った。MLBでプレーした19シーズンの通算成績は打率3割1分1厘、3089安打、117本塁打、509盗塁。イチロー氏が米国の舞台で残した足跡だ。マリナーズは同日、イチロー氏が米野球殿堂入りを果たすと、その背番号51番を永久欠番にした。

 イチロー氏は今年初めて米野球殿堂入り候補資格を得たが、すぐに殿堂入りを果たした。アジア人投手でMLB最多勝(124勝)を記録した朴賛浩(パク・チャンホ)氏(51)は候補に上がらず、2020年にMLBを去った秋信守(チュ・シンス)氏(42)は来年候補資格を得るが、実際に候補に選ばれるかどうかはまだ分からない。

 当初は「イチロー氏は満場一致で殿堂入りを果たすだろう」という見方もあった。これまでの満場一致は2019年に選ばれたMLB過去最多セーブ(652セーブ)投手のマリアノ・リベラ(55)だけだ。MLB米野球殿堂投票の中間結果を集計・公開するウェブサイト「ベースボール・ホール・オブ・フェイム・ボート・トラッカー」は18日、イチロー氏の得票率を100%と予想したが、1票足りなかった。匿名投票なので、誰が投票しなかったのかは公表されない。2020年、ニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジーター氏(397票中396票)も満場一致に1票足りなかったが、イチロー氏はそれに並ぶ得票率だった。イチロー氏は同日、「(2001年)当時、僕が2025年の今日、殿堂入りの発表入りの場に居られることを全く想像できなかった。MLBでプレーすることすらできるのかどうかという議論が沢山あった」「(満場一致まで)一票足りないのはすごくよかった。自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが人生。 不完全であるというのはいい。生きていく上で、不完全だから進もうと思うだけ」と語った。

 日本のメディアは、イチロー氏の米野球殿堂入りのニュースを大きく報じた。共同通信などは「イチロー氏が日本人として初めてMLB米野球殿堂入りを果たした。攻守で大活躍したことが認められ、最高の栄誉を手にした」と報道した。イチロー氏の父親、鈴木宣之氏は日本のメディアとのインタビューで、「(息子の米野球殿堂入りは)日本のファンに今まで声援を送っていただいたおかげだと思う」と語った。

カン・ウソク記者

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