【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル高裁は22日、旧日本軍の慰安婦被害者9人が書籍「帝国の慰安婦」の著者、朴裕河(パク・ユハ)世宗大名誉教授を相手取って起こした損害賠償訴訟の控訴審で、1人当たり1000万ウォン(約108万円)の支払いを命じた一審判決を破棄し、原告敗訴の判決を言い渡した。

 高裁は、同書の記述は学問的・客観的だとし「(被害者が)感情的な影響を受けたとしても、学問の自由を保障する憲法の価値に照らして人格権を侵害したとはいえない」との判断を示した。

 朴氏は2013年8月に出版した同書で、慰安婦被害者を「精神的慰安者」「軍人の戦争遂行を助けた愛国娘」「自発的売春婦」などと表現。原告らは14年7月、名誉を傷つけられたとして1人当たり3000万ウォンの賠償を求める訴訟を起こした。

 これとは別に朴氏が名誉毀損(きそん)の罪に問われた刑事裁判では、昨年4月に無罪が確定している。

 大法院(最高裁)は当時、学問的研究による意見表現を名誉棄損罪とすることには慎重になる必要があるとして、基本的な研究倫理に違反したり、論旨や文脈と関係のない表現で他人の権利を侵害したりしない限りは正当な行為だと説明した。

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