裁判
「国会とメディアは大統領よりはるかに強力」 弾劾審判に初出廷した尹大統領が積極的に弁論…弁護人のミスもとっさにカバー
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は21日午後1時58分、ソウル市鍾路区にある憲法裁判所の大審判廷に入った。藍色のスーツに赤いネクタイという服装だった。白髪がやや増えていたが、髪型は普段と同じだった。尹大統領は裁判官入場前の2分間、虚空を見つめたり、頭を巡らせて左右を見たりした。裁判官が入ってくるときは、尹大統領も起立した。
文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長代行が意見陳述の機会を与えるや、尹大統領は「立って話しましょうか」と問い返した。やりやすいようにしなさい、という文所長代行の言葉に、尹大統領は「私の弾劾事件で悩ますことになって、裁判官に対し恐縮の思い」と切り出し、発言を終える際には「ありがとうございます」と裁判部に頭を下げた。
尹大統領が「自由民主主義の信念」を強調する発言をした際には、ややしわがれた声になっていて、発言中に声の調子を取り戻した。弁論が進められる1時間43分の間、尹大統領は特に表情の変化もなく、口をぐっとつぐんだまま正面を見つめ、時折座り直した。
大審判廷では、国会が証拠として提出した12・3戒厳事態当時の国会と中央選挙管理委員会の防犯カメラ映像が上映された。国会にヘリが着陸する様子、戒厳軍が入る様子などを見るときも、尹大統領の表情は淡々としていた。戒厳軍と議員補佐官・国会職員らが対峙(たいじ)し、消火器を噴射して白い粉末が飛び散る場面では、少し口を開けることもあった。
尹大統領は、合わせて4回マイクをつかんだ。代理人である都泰佑(ト・テウ)弁護士が不正選挙疑惑について説明していたとき、「2023年の国家情報院(韓国の情報機関)の調査結果」を誤って2024年と言うと、大統領は隣に座っていた都弁護士の腕を3回たたき、指を3本広げてみせて「2023年」と訂正した。
尹大統領は「見せてもらった映像について短く、理解を助けるために一言だけ(申し上げたい)」「軍人たちが庁舎に入り、職員らの抵抗で自ら出てきたではないか」と語った。「(戒厳の)内容を最もよく知っているのは被請求人である大統領私自身」「国会と言論は大韓民国において大統領よりもはるかに強いスーパー甲だ。私が(戒厳解除の議決を)妨げたと主張するのであれば、それは本当に手に負えないこと」と言う際は激高した語調だった。
この日、尹大統領は地下駐車場経由で憲裁に入り、出ていくときも同じだった。近くにはおよそ4000人(警察の推定)の尹大統領支持者らが集まった。尹大統領が憲裁に到着するや、支持者らは激高した声で「尹錫悦ファイト」を叫んだ。一部の支持者は憲裁の方に押しかけて警察と対峙した。この過程で一人の女性が警察官に暴行し、午後1時30分ごろ公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕される-という一幕もあった。この日、警察は憲裁周辺に機動隊のバス192台を動員して三重の「車の壁」を作り、機動隊およそ5000人を動員してデモ隊の憲裁進入を元から断った。今月19日の西部地裁乱入事件のときとは異なり、この日、警察は防護服とヘルメットを着用してデモ隊と対峙した。
パク・ヘヨン記者、コ・ユチャン記者