社会総合
抗生物質の効かない「スーパーバクテリア」感染、韓国で昨年4万2000件
抗生物質への耐性を獲得したいわゆる「スーパーバクテリア」に感染したケースが、韓国で昨年4万2000件を超えたことが分かった。
韓国疾病管理庁が19日、明らかにした。それによると、昨年韓国で「CRE(カルバペネム耐性腸内細菌)感染症」として届けが出された件数は計4万2827件だった。CREはカルバペネムなど既存の抗生物質が効かず、「スーパーバクテリア」と呼ばれている。感染者や菌の付着した医療機器などを通じて伝播するが、韓国の保健当局がCRE感染症の全数調査を開始した2017年以来、昨年は最大件数を記録した。
前年(3万8405件)より11.5%増加し、年間全体の統計が初めて記録された18年(1万1954件)と比べ6年で3.6倍に膨れ上がった。感染者のうち60代以上が80%を超えている。死亡者も18年の143人から23年には661人に増えた。昨年の死亡者数は今年6月ごろに確定するが、800-1000人に達するとの見通しが示されている。
CRE感染症が拡大している主な原因としては、高齢人口の急増、医療利用の増加とともに、抗生物質の乱用などが挙げられる。抗生物質を乱用すると耐性菌が発生しやすくなり、耐性菌に感染すると致死率が3倍に増加する。韓国の抗生物質使用量は減少傾向にあるものの、依然として経済協力開発機構(OECD)平均を上回っている。
海外各国も状況は似通っている。国連環境計画(UNEP)などは、抗生物質耐性菌への感染によって世界で年間およそ130万人が死亡していると推算する。世界保健機関(WHO)は抗生物質耐性について「人類の生存に対する10の脅威」の一つとしている。
安俊勇(アン・ジュンヨン)記者