韓国野党・共に民主党は20日、政治関連の世論調査を検証する組織を党内で立ち上げることにした。最近の複数の世論調査で与党・国民の力の支持率が共に民主党を上回る結果が相次ぎ、また一部の調査では「政権継続を求める」との回答が「政権交代を求める」を上回った。そのため調査の過程で誤謬(ごびゅう)や歪曲(わいきょく)がないか検証し、修正するというのだ。

■共に民主党が積極対応へ方針転換

 共に民主党の趙承来(チョ・スンレ)首席スポークスマンは同日、党内に「世論調査検証および制度改善特別委員会」を立ち上げると発表した。趙承来首席スポークスマンは「この委員会で世論調査の歪曲・捏造(ねつぞう)に対する検証と対応を行う予定だ」とした上で「検証の結果、疑わしい問題があると判断すれば、中央選挙世論調査審議委員会に(調査を)依頼する」と説明した。世論の捏造や歪曲が疑われる調査会社を委員会に告発し、問題があれば世論調査業界から追放するというのだ。

 最近は複数の世論調査で与野党の支持率が逆転する結果が相次いでいるが、これについて共に民主党執行部はこれまで「保守層のオーバーサンプリングによる一時的な錯視現象」として深刻には受け取ってこなかった。ところが同じような結果が相次いだことや、「政権継続を求める」との回答が「政権交代を求める」を上回る調査結果も公表されたことにより、共に民主党では「積極的に対応すべきだ」との声が高まっている。同党の李在明(イ・ジェミョン)代表も最近の世論調査の流れに「一部歪曲された調査の影響があるのでは」と懸念を示しているという。

 実際に先日ある世論調査会社が「国会で弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率が40%を記録した」との結果を発表した際、共に民主党は「世論調査の質問が偏向した形で設計された」として中央選挙世論調査審議委員会に調査を依頼した。ところが同委員会は「この調査には特に問題はなかった」と判断し、共に民主党の依頼を棄却する決定を下した。

 共に民主党の特別委員会は21日にこの調査会社を訪問しようとしたが取りやめた。共に民主党の関係者は「この調査会社は尹大統領の支持率を52%と発表したが、嶺南(慶尚南北道)地域の住民だけを対象としながら全国的な調査と誤認させた疑惑がある」と指摘した。しかし調査会社訪問を取りやめた理由について一部では「世論調査に対する『口封じ』との批判を意識したのでは」との声も相次いでいる。

■リアルメーター「政権延長が政権交代を逆転」

 すると今度は大手調査会社のリアルメーターが20日に発表した世論調査で「政権与党による政権延長を求める」との回答が48.6%を記録し、「野党による政権交代を求める」とする46.2%を上回った。「よく分からない」は5.2%だった。リアルメーターが1週間前に行った同様の調査と比較すると、「政権延長を求める」は7.4ポイント増え、「政権交代を求める」は6.7ポイント下落した。この調査はエネルギー経済新聞の依頼を受けリアルメーターが今月16-17日に全国の満18歳以上1004人を対象に行った。

 政党支持率は国民の力が46.5%で先週よりも5.7ポイント上昇し、共に民主党は39.0%で3.2ポイント下落した。双方の支持率の差は誤差の範囲を上回る7.5ポイントにまで広がった。ただし回答者のうち保守・中道層が占める割合は増加傾向だ。リアルメーターの調査で政治的な考え方を「保守」あるいは「中道」と回答した割合はここ3週間で全体の65.9%(1月第1週)→67.9%(1月第2週)→71.8%(1月第3週)と増加を続けている。世論調査会社の関係者は「標本の年齢、性別、居住地はその比率通り配分しているが、政治的な考え方は固定された基準がない」「尹大統領拘束後に保守層の回答者が増えた可能性が考えられる」との見方を示した。リアルメーターの調査は調査員ではなく機械で行うARS(自動応答システム)方式との点も一つの要因として指摘されている。例えば大邱に住む70代がARS世論調査で全羅北道に済む20代と偽って回答もできる。

 今回発表されたリアルメーターの調査では、大統領選挙前倒しが現実となった場合「政権与党による政権延長を求める」の割合が光州、全羅南道、全羅北道で34.9%を記録した。共に民主党の関係者は「湖南(全羅南北道)で政権延長を求める割合が30%を上回ったとすれば、これは客観的な世論を反映したとは考えにくい」としながらも「調査員が直接質問する形式で、しかも虚偽の回答が相対的に難しい電話調査でも同じような流れが出ている点には注目する必要がある」とコメントした。

チュ・ヒヨン記者

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