心房細動患者に一日5杯以上のコーヒーが役立つ可能性があるという研究結果が出た。心房細動とは、心房が小刻みに震えてけいれんし、脈が不規則になる病気。認知機能を低下させるリスク要因だが、コーヒーが認知機能の低下を防いでくれる、というのが研究の核心だ。

 スイス・チューリッヒ大学の研究チームは12月19日(現地時間)、米国のJAHA(ournal of the American Heart Association)誌を通じ、このような内容を発表した。研究は、スイスで心房細動のコホート研究に参加した2413人(平均年齢73歳)を対象に行われ、参加者たちの過去1年間の一日のコーヒー摂取量を調査した。さらに最低8年間、脳卒中、血液炎症反応、血液凝固、脳画像、認知テストなどを実施した。ここでは、カフェインが含まれたコーヒだけを集計した。

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写真=UTOIMAGE

 その結果、コーヒーを一日に5杯以上飲む人たちの認知テストの点数が、コーヒーを飲まなかったり一日に1杯未満の人に比べ、全般的に高かった。具体的に見ると、コーヒー摂取量が多い人は課題処理速度、視覚運動調整、注意力の点数が11%高く、認知年齢も6.7年若かった。血液炎症反応も、毎日1杯未満飲んだ人と比べると、20%低いことが分かった。

 研究を主導したビア教授は「コーヒーといくつかの精巧な認知テストの間には、たくさん飲むほど点数が高くなる『容量反応』がはっきりと見られた」とした上で「この関連性は、年齢・性別・ボディマス指数(BMI)・喫煙・脳卒中の病歴などを考慮した後も維持された」と説明した。さらに、こうした結果はカフェイン、マグネシウム、ビタミンB3などの活性成分のためかもしれないし、炎症を誘発する化学物質を減らすコーヒーの効果のためかもしれないと主張した。

 ただし、観察研究である今回の研究で、コーヒーに実際に長期的な認知機能低下予防効果があると断定することはできないという意見もある。米国テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターのジョグラー教授は「コーヒーの全般的な認知機能向上効果は、ほかの研究でも明らかになっている」とした上で「心房細動患者だけに該当するものではないかもしれない」と話している。

 そして「コーヒーが心房細動を悪化させることはないものとみられるため、コーヒーを飲むのをやめる必要はないが、コーヒーを飲み始めたからと言って、心房細動を予防したり、長期的な認知機能低下を防ぐことができると確信することはできない」と指摘した。

 なお、米国の食事メニューガイドラインでは、一日3-5杯のブラックコーヒーは、健康的な食事の一部になり得るとしている。しかし、アメリカ心臓協会(AHA)では、ラテやマキアートのようなコーヒー飲料の場合、カロリーが高く、砂糖や脂肪が添加されているケースが多いため、注意しなければならないと警告している。

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