社説
起訴済みで裁判中の「内乱」事件に追加で特別検察官を任命する共に民主党【1月18日付社説】
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は内乱罪で20日までに起訴される見通しだ。検察は金竜顕(キム・ヨンヒョン)前韓国国防部(省に相当)長官や呂寅兄(ヨ・インヒョン)国軍防諜司令官ら戒厳令事態の重要加担者9人をすでに起訴している。16日には金竜顕前長官に対する最初の裁判も行われた。ところがこの状況で野党・共に民主党は内乱特別検事法案をごり押ししている。特別検事は法案が公布されたとしても準備期間は20日だ。つまり尹大統領と戒厳令関係者の捜査が終わって裁判が始まっているにもかかわらず、これとは別に特別検事による捜査をあらためて行うというのだ。
しかも現行法上、同一の事件や人物に対する二重の起訴は認められていない。「内乱」特別検事であっても内乱の核心となる容疑では起訴できないのだ。共に民主党は「内乱関連の追加起訴は可能」と主張しているが、これは枝葉末節的な問題となる可能性が高い。過去の特別検事は捜査対象となる重要人物が起訴される前に始まった。それは巨額の税金や捜査担当者の投入など、特別検事を行う理由が少しでも生じるからだ。捜査を終えて裁判が始まった事件を最初から再び捜査するという特別検事はこれが初めてだ。
特別検事は通常なら捜査が困難あるいは不十分な状態の政治的事件などに投入される。しかし戒厳事件は検察・警察・高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が先を争って捜査を行った。大統領は職務が停止され何の権限も行使できない状態にあり、しかも裁判所はこれらの競争的な捜査を全て認めている。検察・警察・公捜処が何かの圧力を受けて捜査できないわけでもない。
つまり特別検事により何か新たな事実関係が解明されることはなく、これは共に民主党もよく理解しているはずだ。共に民主党の狙いは「内乱特別検事」を前倒しされた大統領選挙戦に利用するためだ。捜査期間を最長で5カ月とし、捜査状況をほぼ毎日発表する規定も全て選挙目的だ。最近の共に民主党の支持率下落はただひたすら大統領選挙前倒しだけを目的とする暴走に国民が反感を抱いているからだ。手続きに沿って処理すべき問題を独善と強圧でごり押しするようでは逆風に直面するのも当然だ。