韓米関係
李在明代表と共に民主党の親中・反米路線、米政界から懸念の声相次ぐ
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の非常戒厳宣布とそれに続く弾劾政局以降、米国の政界や報道機関では、韓国最大野党・共に民主党と李在明(イ・ジェミョン)代表の外交観(外交に対する考え)への懸念が相次いで取り沙汰されている。李在明代表がこれまで示してきた北朝鮮に対する融和的な姿勢や中国擁護発言、共に民主党が先月主導・発議した1回目の尹大統領弾劾案で言及された弾劾理由「中朝を敵視する外交」などの文言に現れている親北朝鮮・親中路線を警戒する声が多い。
英紙フィナンシャル・タイムズはこのほど、李在明代表の外交観について、「北朝鮮とロシアに対し、より融和的な姿勢を取るだろう」とした上で、「(李在明代表は)韓中関係が危機にひんしていた時、駐韓中国大使と一緒に公の場に現れて批判を浴びた」と報じた。米政治専門メディアのポリティコは「中国に対して(現在の尹政権とは)非常に異なる見解を持っている」「(李在明代表が政権を執れば)日本に対する根強い反感を利用し、韓米日協力に対する韓国の約束も覆す可能性がある」と伝えた。
先日行われた米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)での対談で、米政策研究所のヘリテージ財団ブルース・クリングナー上級研究員は「李在明代表はインド・太平洋地域での中国の行動を『ありがたく思うべきだ』と言った。また、『韓国は台湾有事にいかなる役割もしてはならない』とも言った」と懸念を表明した。李在明代表は昨年3月、韓国国会議員総選挙の遊説時に「中国と台湾の問題がどうなろうと韓国に何の関係があるのか」と発言したが、これを指摘したものだ。
米下院外交委員会の東アジア太平洋小委員会委員長を務めるヤング・キム米下院議員はこのほど、本紙とのインタビューで、「『尹大統領の弾劾を主導した勢力』(共に民主党をはじめとする野党)は北朝鮮に対する融和政策、中国に対する順応を好む。これは韓半島(朝鮮半島)の安定と地域全体に大きな災いをもたらす可能性が高い」と懸念した。米国防総省でサイバー・セキュリティーを担当したジョン・ミルズ元陸軍大佐は今月9日、ドナルド・トランプ次期大統領の側近であるスティーブン・バノン氏のインターネット配信に出演し、李在明代表について、「左派・親中派の人物で、米軍を『占領軍』と呼んでいた人物だ」とした上で、「彼の反米路線は中国の地政学的目標と一致し、左派政治家たちは極度に反日傾向なので、状況をさらに複雑にしている」と語った。
日本の報道機関からも、李在明代表の反日外交観に対し懸念の声が上がっている。朝日新聞はこのほど、「李在明代表は日本に対しては、厳しい姿勢で知られる。李在明代表の影響力拡大が、改善基調にあった日韓関係や、安全保障環境を左右する日米韓協力に影を落とす懸念も指摘されている」と指摘した。産経新聞の黒田勝弘客員論説委員はある番組で、「李在明代表が大統領になれば、日本は大きな困難に直面するだろう」と言った。尹大統領の非常戒厳宣布直後の先月6-8日、NHKが日本人1224人を対象に実施した世論調査で、回答者のうち66%は戒厳宣布が韓日関係に及ぼす影響について「(非常に、あるいはある程度)懸念している」と答えた。
ワシントン=朴国熙(パク・ククヒ)特派員、ソ・ボボム記者