社説
「カカオトークはフェイクニュースの聖域ではない」 共に民主は全国民の口を封じるつもりか【1月14日付社説】
韓国野党・共に民主党は13日「(メッセンジャーアプリの)カカオトークはフェイクニュースの聖域ではない」「フェイクニュースを広める行為に対しては党の力を結集し根こそぎ対処する」との声明を出した。共に民主党は先日「虚偽情報の情報提供を受け付ける」として「民主派出所」というサイトを開設したが、そこに一般人のカカオトークでのやりとりもフェイクニュースとして通報すれば、共に民主党がその内容を検討し告発するというのだ。あまりにゆがんだ発想だ。
カカオトークは韓国国民のほぼ全てが使用するメッセンジャーアプリだ。政治家や公職者、メディア関係者なども私的なやりとりの場として使っており、公的あるいは公開の発言や発表とは次元が異なるものだ。カカオトークに掲載される政治的発言も一部限定された一般人同士の私的なやりとりに過ぎない。対話にはもちろん事実に反するものもあるだろうし、その程度がひどいものもあるが、公的な立場でもない一般国民にまで犯罪容疑をかぶせることは非常に慎重に行うべきであり、また極めて例外的であるべきだ。国民の言論の自由を最初から封じかねないからだ。国会を掌握して大統領を弾劾し、現実的な権力として登場した政党がカカオトークの対話を監視すれば、これはもはや国民を脅迫する行為と何ら変わりがない。
「フェイクニュースかどうか」の判断を共に民主党が行うことも正しいことではない。共に民主党はこれまで数え切れないほど多くのフェイクニュースを広めてきた。そのフェイクニュースの害悪はカカオトークで一般人がやりとりする私的な対話よりもはるかに大きい。ところが共に民主党がその責任を負ったという話は聞いたことがない。つい最近も共に民主党は李在明(イ・ジェミョン)代表が兄嫁や兄と実際に電話で話した対話の内容を「フェイクニュース」に分類した。共に民主党は釜山市金井区庁長補欠選挙を巡る金於俊(キム・オジュン)氏のずさんな世論調査には何も言わず、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率が40%を上回ったとする世論調査を告発すると発表した。要するに共に民主党にとって不利な内容はフェイクニュースとしてレッテルを貼り、検閲するというのだ。文字通り全国民に対する口封じに他ならない。
今与野党それぞれの側のユーチューバーたちが確認もされていないうわさ話を本当のように広め、収益を上げるケースが深刻な問題になっているのは事実だ。これは法的規制が不十分なことが原因だが、共に民主党はこれらの法的問題について検討したことはあるのか。逆にフェイクニュースの大量生産で批判を受ける金於俊氏を後押ししているではないか。政権が目前に近づいたと考えているようだが、たとえそうだとしてもカカオトークの検閲という反民主的発想は控えるべきだ。