▲12月31日午前、国会で開かれた「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権による非常戒厳宣布を通じた内乱真相究明国政調査特別委員会」の全体会議で共に民主党のパク・ソンウォン議員が関連証拠の保全が急がれると強調している。/聯合ニュース

 非常戒厳の過程で明らかになった一部の軍幹部の低落ぶりを見ると、韓国軍が果たして国軍なのか、それとも特定の政治家や政治勢力に従属している私兵集団なのか疑わしい。あまり注目されずに見過ごされているが、韓国軍がどれほど多くの政治軍人によって汚染されているかを垣間見ることができる報道があった。昨年12月20日、MBC放送が報じた戒厳宣言直後の民主党議員たちによるテレグラム・チャットの全文だ。問題のくだりをそのまま引用する。

 「[パク・チャンデ]緊急速報です。議員の皆さま、国会に集まってください(10:41)、[ソ・ビョンフン]ただちに国会に向かいます(10:41)、[クォン・ヒャンヨプ]軍隊動員も可能な状況です(10:41)、[チェ・ミンヒ]軍の動向は把握できますか(10:41)、[パク・ソンウォン]707特任団の携帯電話回収(10:42)」

 707特任団(特殊任務団)は暗殺作戦を皮切りに、戦時・準戦時状況で極秘任務を担当する特殊部隊だ。707特任団が国会に出動する前、携帯電話の回収措置が取られた時刻は12月3日夜10時30分。この作戦に関する情報がたった12分で野党議員の耳に入ったのだ。

 どのような経路でこんなことが起きたのか。同部隊の内部、または指揮線上に、普段からパク・ソンウォン議員に随時機密情報を流してきた人物がいたと見なす以外にない。パク議員は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に国情院(国家情報院)基調室長と次長を務め、現在は国会国防委員会と情報委員会の委員を受け持っている。民主党が政権を握れば、軍と情報機関に相当な影響力を発揮することができる人物だ。そんなパク議員とひそかに政治的コネを持つ軍人がいるわけだ。

 国情院でも同じようなことが発生した。戒厳解除の直後、ホン・ジャンウォン第1次長(当時)はチョ・テヨン院長に「李在明(イ・ジェミョン)代表にも電話で(安保の状況を)説明するのはどうか」と提案したという。情報機関の幹部が公式報告体系から逸脱し、野党の政治家に報告しようと堂々と言えることが果たして正常な状態なのだろうか。元国情院幹部は「院長と二人きりで交わした対話内容について、数日後、国会の情報委で野党の政治家が質疑したこともあった。国情院の情報が野党に垂れ流しになって久しい」と話す。政権が変わるたびに大々的な入れ替えとコネづくりの人事を繰り返しているため、国情院はすでに政治によってひどく汚染されている。

 軍と情報機関は、国家を守る鋭いやりであり、堅固な盾でなければならない。そのために将校と幹部たちは厳正な軍紀と職業的専門性、エリート意識で武装されていることを国民たちは期待する。しかし、戒厳宣言の過程で明らかになった彼らの姿は衝撃的だった。上官と部下が互いに責任を転嫁し合い、言い訳とうそで塗り固めた。生放送のカメラの前で将軍と大佐たちが口合わせする姿まで露呈した。不法戒厳命令に、根拠を挙げて反論し拒否する決起と力強さは初めから期待できないレベルだった。

 何が彼らをこのように弱く、ひきょうで専門性すら感じられない存在へとおとしめてしまったのだろうか。国家のために献身するという確固たる名誉とプライドを守りにくい組織文化と職業的未来が大きな要因だと感じる。40代初めから半ば、あるいは50代の最盛期に除隊した佐官クラスの将校を受け入れる所など、ほとんど存在しないに等しい。除隊後に働き口が見付からず、健康食品を売って回ったり軍人年金だけに頼ったりしながら失業者として生きていく予備役将校が数え切れないほど存在するという。だから現役時代、厳正な軍紀と専門的な職務遂行という本質だけに集中せずに「コネ」を探し「政治的な付き合い」を広げるのだ。

 この際、軍と情報機関の綱紀と組織文化をしっかりと正す方法について真剣に模索していただきたい。「軍人と情報要員が職業的に充実していることだけでも名誉」と言える道を模索していくべきだろう。国のために必ず行わなければならないことだ。

チョ・ジュンシク・ニュース総括エディター

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