▲グラフィック=キム・ヒョングク

 キム・ヘソンの選択はドジャースだった。キウムのキム・ヘソン(26)がLAドジャースに入団する。ドジャースは1月4日、「キム・ヘソンと3年1250万ドル(約19億7000万円)と、2028年と29年に契約延長ができる条件で入団契約を交わした」と公式発表した。28-29年に契約延長を結ぶ場合、5年で最大2200万ドル(約35億円)まで受け取ることになる。契約締め切りまで残り3時間だった。キム・ヘソンは韓国選手としてポスティング(移籍入札)を経てメジャーリーグ入りする9人目の選手となった。ドジャースは昨シーズンのメジャーリーグ(ワールドシリーズ)のチャンピオンであり、韓国人メジャーリーガー1号である朴賛浩(パク・チャンホ)がプレーした韓国とは縁が深い球団だ。

 キム・ヘソンは12月4日、MLB(米メジャーリーグ)事務局がポスティングを告知した後、米国現地で練習と交渉を続けてきたものの、契約のニュースはなかなか持ち上がらなかった。しかし、LAドジャースをはじめ、シアトル・マリナーズ、LAエンゼルスなどの5球団からオファーを受けたという。現地メディアによると、エンゼルスはドジャースよりも好条件の5年2800万ドル(約44億円)を提示したものの、キム・ヘソンは大谷の助言とアジア選手が適応しやすいといった点などを考慮し、ドジャース入りを選んだという。

 キム・ヘソンは昨年、米国進出のためにCAAスポーツと所属事務所の契約を結んでいるが、実は大谷もCAAスポーツの所属だ。CAAスポーツ側は「キム・ヘソンは今回の交渉で米国に滞在している間、大谷から直接いろんなアドバイスをしてもらった。こうした部分も影響を与えたものとみられる」と明らかにした。キム・ヘソンのドジャース行きが確定すると、大谷はソーシャルメディアにキム・ヘソンの写真と共にハングルで「ようこそ、友よ」とお祝いのあいさつをアップした。これからマウンドに立つ大谷の後ろでキム・ヘソンが二塁を守るシチュエーションも期待できる。キム・ヘソンは近いうちに渡米し、メディカルテストを受けた後、正式入団の手続きを経て、2月から開かれるスプリングキャンプに合流する見込みだ。

 キム・ヘソンはトンサン高校を卒業後、2017年のプロ野球新人ドラフトの2次1ラウンド7位でネクセン(現キウム)に指名された。2年目の18年から主力として活躍し、攻走守を兼ね備えた韓国国内トップの二塁手として成長した。ゴールデングラブ賞を4回受賞し、23年の杭州アジア大会では韓国の金メダル獲得にも貢献した。韓国プロ野球では8シーズンで通算953試合に出場し、打率3割4厘、1043安打、37本塁打、386打点、211盗塁をマークした。

 ドジャースは2024年3月、ソウルでMLBソウル・シリーズが開催された当時、ドジャースと韓国代表チームの親善試合を通じてキム・ヘソンに対して好印象を持ったという。ドジャースのゴームズ団長は「過去のわれわれとの試合で彼が見せてくれた躍動性と爆発力は非常に素晴らしかった。こうしたタイプの運動能力を兼ね備えた選手をチームに加えることができて本当にうれしい」と期待を寄せた。

 ただ、キム・ヘソンにはこれから厳しい主力争いが待ち構えている。ドジャースはひとまずキム・ヘソンを40人のリストには登録したものの、メジャーリーグでプレーするためには26人のリストに入らなければならない。ゴームズ団長が「キム・ヘソンは二塁手と遊撃手を行き来するユーティリティーの役割が似合う」と言及したことから、主力よりは交代要員として活用する可能性が高い。今回の契約にはマイナーリーグへの拒否権も含まれておらず、厳しい生存争いを覚悟しなければならない立場だ。キム・ヘソンのライバルは昨シーズン、二塁手の主力として活躍したギャビン・ラックス(28)、遊撃手としてプレーすることを宣言したムーキー・ベッツ(33)、内外野を守れる韓国系トミー・ヒョンス・エドマン(30)などだ。弱点とされる長打力も補強しなければならない。韓国プロ野球8シーズンで通算本塁打が37本に過ぎない。メジャーリーグは球場が広く、さらに不利となる見通しだ。

■キウムは5人目のメジャーリーガーを輩出

 キム・ヘソンがドジャースと入団契約を交わしたことで、キウムはネクセン時代を含めてポスティングシステムを通じ、5人をメジャーリーグに送る士官学校の役割を担っていることを再確認する形となった。2015年のカン・ジョンホ(ピッツバーグ・パイレーツ)を皮切りに、16年のパク・ピョンホ(ミネソタ・ツインズ)、21年のキム・ハソン(サンディエゴ・パドレス)、そして昨年はイ・ジョンフ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が渡米した。キウムは今回のキム・ヘソンの契約で約20%に相当する総額250万ドル(約3億9000万円)を補償金として受け取る。契約期間が延長されれば、さらに受け取ることになる。これまで選手5人をメジャーリーグに送ったことで得た補償金は、少なくとも3800万ドル(約60億円)に上ると見られている。

ペ・ジュンヨン記者、カン・ウソク記者

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