記者手帳
2分間の打ち上げ花火ショーで6カ月の営業停止処分だなんて…【記者手帳】 務安空港事故
全羅南道務安国際空港で発生したチェジュ航空事故の翌日に当たる昨年12月30日、仁川市のある中小企業に「6カ月の営業停止」という厳しい処分が下された。前日、事故現場から300キロほど離れたソウル市汝矣島公園近くの漢江の遊覧船上で2分間花火を打ち上げたことが原因だ。
現代海洋レジャーが遊覧船を運航した時刻は午後5時。船には同社が無料で招待した多文化家庭の子どもたちや社会奉仕団体の構成員約70人、外国人観光客など総勢200人余りが搭乗していた。同社は以前から遊覧船の定員の10%を社会疎外階層に無料で提供してきた。同日の運航は、年末行事である「漢江フェスティバル冬」の一環としてソウル市が事前に承認したものだった。しかし、ソウル市は約2時間前の午後2時40分ごろ、突然運航取り消しを要請し、業者側は「すでに予約されており、一方的な取り消しは困難」と回答した。業者の代表は7日の電話で「当初、航空機事故のために花火を打ち上げることができないとアナウンスすると、同日招待されていた多文化家庭の一部の子どもが泣き出した」と理由を語った。結局、遊覧船の乗客は事故の犠牲者を哀悼した後に出航し、その後、船上で2-3分にわたって約50発の花火を打ち上げた。
しかし、遊覧船から打ち上げられた花火の写真がソーシャルメディアで拡散され、非難の声が上がると、ソウル市は事業撤退を切り出した。「6カ月間、ソウル市内の漢江遊覧船運航全面禁止」と「協力事業の全面中断」という重懲戒だった。同遊覧船会社は、京畿道金浦市を出発し、ソウル市内の漢江を回って帰途に就く路線を運営している。ところが、ソウルには入ってこられないようにしたのだ。「半年間にわたる営業停止」という措置は、売り上げわずか44億ウォン(約4億7000万円)の中小企業にとっては大打撃とならざるを得ない。
業者代表が「(韓国政府の)国家哀悼期間の宣言前であり、あまりにも急な状況だったので、判断が未熟だった」とし「経営難という観光業界の現実が、できない行事、してはならない行事を区分しにくくしてしまった」と謝罪したものの、受け入れられなかった。同社は、疎外階層の無料招請など観光産業に寄与した功労により、大韓民国産業褒章とソウル市観光同行大賞を受賞した企業でもある。ソウル市の関係者は「業者もミスを認めており、相互協議の結果、6カ月間の運航停止措置を下した」と説明した。
事故当日の花火を非難する声は十分に理解できる。悲劇的な事故に対する国家レベルの哀悼も必要だ。ただ、それが全ての日常を停止せよという意味ではないのではないか。犠牲者を哀悼しながらも、誰かは生計のために踊り、歌うことができ、誰かは花火を打ち上げなければならない。それが社会だ。
しかし、韓国社会は「国家哀悼期間」という名の下では、皆が息を殺して生きなければならない。韓国国内の多くの企業が仕事始めはもちろんのこと、寄付金の寄付、経営難の中小企業の物品を購入するイベントまでキャンセルした。こうした姿が外国人の目には見慣れないものとして映ったことだろう。ソウル市は今回の「超強硬」措置について「火の粉がソウル市に降りかかるのではないかという懸念のため」という批判を心に刻むべきだ。
パク・スンチャン記者