▲グラフィック=キム・ヒョングク

 韓国の国民のうち、がんと診断されて治療中あるいは完治した人が250万人を突破したことが分かった。これは国民20人に1人の割合だ。死ぬまでにがんを発症する確率は38.1%に達した。「がんの日常化」時代が到来したわけだ。ここ数十年間でがん患者の相対生存率は上がり続け、最近5年間では72.9%に達している。相対生存率とは、同じ性別・年齢の一般人と比べたがん患者の生存割合だ。同じ期間に甲状腺がんの相対生存率は100.1%だった。これは同じ性別・年齢の一般人と比べて甲状腺がん患者の5年生存率の方が高いことを意味する。通常、がんは手術・治療後5年間再発しなければ、完治と見なされる。

 韓国保健福祉部(省に相当)が12月26日に発表した2022年の国家がん登録統計を見ると、全国規模のがん統計作成が始まった1999年から2022年までにがんと診断された人のうち、23年1月1日時点で生存が確認された「がん有病者」は全人口の5%に当たる258万8079人だった。このうち61.3%に当たる158万7013人は5年以上生存していた。サムスン・ソウル病院がん病院の李祐鏞(イ・ウヨン)院長は「がんを早期に発見するケースが過去に比べて大幅に増えた上、新しい手術技法の開発などで治療水準も向上した」と話した。

 がん診断の活性化により、22年の新規がん患者数はコロナ禍以前の19年と比べ2万2696人(8.8%)増えた。22年に最も多く発生したがんは甲状腺がんで、次いで大腸がん、肺がん、乳がんの順だった。男性では肺がん、前立腺がん、大腸がんが多く、女性は乳がん、甲状腺がん、大腸がんの順だった。65歳以上の高齢層では肺がん、大腸がん、胃がんが多く、15-64歳では甲状腺がん、大腸がん、乳がんが上位を占めた。14歳以下では白血病と脳・中枢神経系に関連するがんが多かった。韓国国民が期待寿命(82.7歳)まで生存する場合、がんにかかる確率は38.1%だった。これは死ぬまでに3人に1人ががんにかかる可能性があることを意味する。

 がん患者の生存率は過去30年の間に飛躍的に高まった。1993-95年にはがんと診断された患者の5年相対生存率は42.9%だった。しかし、2018-22年にがんと診断された患者の5年相対生存率は72.9%まで上がった。発病初期のがん診断が増えたことが影響を及ぼしている。18-22年に新たにがんを発病した患者のうち50.9%は、診断時にがんが見つかった臓器から他には転移していない状態だった。このように早期に診断された患者の生存率は92.1%で、がんが他の臓器に転移した後にがんと診断された患者の生存率(27.1%)より大幅に高かった。

 がんの種類別に見ると、相対生存率が高いのは、甲状腺がん、前立腺がん(いずれも96.4%)、乳がん(94.3%)だった。肝臓がん(39.4%)と肺がん(40.6%)は比較的低かった。ただし肝臓がんと肺がんも1990年代に比べると相対生存率は3倍以上高くなっている。延世がん病院肺がんセンターのキム・ヘリョン・センター長は「標的治療剤(がん細胞の特定の分子に作用してがんの増殖や転移を抑える治療薬)など各種新薬の開発によって、ステージ3-4のがん患者の生存率が確実に上がった」と説明した。

 韓国のがん治療水準は世界的にも非常に高い。昨年9月に米国の時事週刊誌『ニューズウィーク』が発表した「2025年世界最高の専門病院」評価では、サムスン・ソウル病院(3位)、ソウル峨山病院(5位)、ソウル大学病院(8位)の3病院ががん治療分野の「トップ10」にランクインした。敏速な新技術の導入に加え、医療陣の優れた力量が成果を出した。全国民を対象に政府が実施している6大がん検診事業もこうした高評価を後押ししている。ソウル峨山病院がん病院のキム・テウォン院長は「国と民間の双方の努力が実り、がん治療において世界最高レベルの成果を出している」と述べた。

オ・ギョンモク記者、チョン・ヘミン記者

ホーム TOP