▲グラフィックス=キム・ヒョングク

 29日に全羅南道の務安国際空港で発生したチェジュ(済州)航空機事故で、客室乗務員2人が奇跡的に救助された。2人は旅客機の後部で乗客サービスを担当していたが、事故機が空港の外壁に衝突する際、機体最後方の一部がもげ落ちて助かった。専門家らは「航空機事故では一般的に、機体最後方の生存率が高くないが、(今回は)死が2人の目の前で止まった」と語った。

 男性乗務員(33)は木浦韓国病院に搬送された際、「どこが痛いのか」という質問に「何が起こったのか」と問い返したという。そして、「着陸するということでシートベルトを締めていた。飛行機は着陸したように感じたが、それ以降は記憶がない」「どうして私はここにいるのか」と問いかけたとのことだ。

 仁荷大学航空宇宙学科の崔基永(チェ・ギヨン)教授は「航空機の衝撃が正面に集中したため、衝撃が比較的少なかった機体最後方にいた乗務員が生存できたのだろう」と言った。

 この男性乗務員は同日午後4時13分ごろ、ソウル市江西区の梨花女子大学ソウル病院に移送された。男性乗務員は同病院で「目が覚めたら救助されていた」と語ったという。同病院のチュ・ウン院長は午後9時に記者会見を開き、「記憶喪失の症状について特に言及する段階ではない」「トラウマ(心的外傷)や回復の妨げとなることなどを懸念し、事故当時の状況については詳しく聞かなかった」と述べた。

 また、同院長は「男性乗務員は頸椎が固定されている状態なので首を動かすことはできないが、視線を合わせたり、質問に対して適切な返事をしたりしている」「時間・空間・人に対する認識能力『指南力(見当識)』は保たれている状態だ」と説明した。

 男性乗務員は木浦韓国病院で「左肩を骨折し、頭などを負傷しているが、脈拍は正常で、歩行も可能だ」と診断された。一方、梨花女子大学ソウル病院では「第9・第10胸椎、左側肩甲骨、左側第1・第10肋骨骨折と頭蓋骨の外側部分の浮腫、頭皮・額部分の裂傷など多発性外傷」と診断された。同病院のチュ・ウン院長は「男性乗務員は神経損傷による全身まひなどの後遺症が出る可能性があるため、集中的に管理している。心理治療のために精神健康医学科との協力も予定されている」と話した。骨折の治療には数週間かかる見通しだ。

 木浦中央病院に搬送された女性乗務員(25)も意識がある状態だという。この女性乗務員も足首や頭などに負傷しているが、命に別状はない状態だとのことだ。ただし、女性乗務員は同日午後まで現在の状況をよく把握できていない様子で、同病院の医療陣も精神的ショックを懸念して事故のニュースを具体的には知らせていないという。

 木浦中央病院の医療陣は「患者が初めて病院に到着した時、どこが痛いのかなどについて話し、血圧も正常だった」「ただ、頭の右側から大量に出血しており、血管に損傷があるものとみられる。足が下敷きになっていたのか、右足首が腫れていた」と語った。女性乗務員は同病院で縫合手術や精密検査などを受けた。

 同日夕、女性乗務員はソウル市松坡区のソウル峨山病院に移送された。頭に包帯を巻き、ダウンジャケットと布団で顔と体を覆い、ストレッチャーに横になったまま救急室に移動した。家族と見られる女性3人が付き添っていた。

キム・ボギョン記者、アン・テミン記者、務安=キム・ドヨン記者、務安=ヤン・インソン記者、務安=キム・ジヘ記者

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