社説
「国会で共に民主・李在明代表を見つめたこと」が法相弾劾訴追の事由になるだなんて【12月26日付社説】
韓国野党・共に民主党が韓国法務部(省に相当)の朴性載(パク・ソンジェ)長官の弾劾訴追案を一方的に可決したが、その理由の一つに「野党代表をみつめたこと」という項目があった。朴性載長官が国会本会議場の自らの席に向かう際、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表を見つめたことが「国会無視」であり、これが弾劾の理由になるというのだ。朴性載長官は「見つめた事実そのものがない」とした上で「事実関係とは関係なく、常識的に考えて人を見つめたことがなぜ弾劾理由になるのか」と反論した。
弾劾は政府高官などによる不法行為が具体的かつ深刻な状況となったときに最後の手段として行使するものだが、国会での国務委員(閣僚に相当)の態度が「重大な憲法・法律違反」に相当するとは考えにくい。共に民主党は朴性載長官が金建希(キム・ゴンヒ)夫人特別検事法の再採決の際に本会議場を後にしたことも違法と主張している。国務委員が国会での採決が終わるまで本会議場に残るよう定めた法律の規定はない。共に民主党内からは「李在明代表は共に民主党の父」などと北朝鮮のような独裁国家でよく見られる忠誠競争が見られ、偶像化の言葉などが堂々と語られている。そう考えれば「李在明代表を見つめた罪」が弾劾訴追の理由として明記されたことは決して偶然ではないだろう。
共に民主党による荒唐無稽な弾劾訴追はこれだけではない。大手下着メーカーサンバンウルによる北朝鮮への送金事件を捜査した検事を弾劾訴追する際には、検察の会食で飲酒後にだらしない態度を取ったとする「~らしい」疑惑を提起したが、同席者たちは全員が「そんなことはなかった」と証言している。大庄洞事件を捜査した検事に対しては「韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相の収賄事件で服役している受刑者を呼び証言を強要した」と主張したが、これは文在寅(ムン・ジェイン)前政権で嫌疑なしと結論が出た事案だった。李東官(イ・ドングァン)元放送通信委員長の弾劾訴追の際にはあろうことか「検察庁法に基づき弾劾する」と記載した。他人の弾劾訴追案のコピーをそのままペーストしたのだ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の1回目の弾劾訴追案では「北朝鮮、中国、ロシアを敵対視し、日本中心の奇異な政策にこだわった」として外交政策まで弾劾の理由とした。
憲法裁判所は「李廷燮(イ・ジョンソプ)検事弾劾案」は満場一致で棄却したが、その際に訴追理由とされたゴルフ場・リゾート利用の便宜などについては「職務との関連性が特定されなかった」と説明した。違法性はともかく、弾劾訴追の基本的な要件となる「職務との関連性」が最初から認められないという意味だ。共に民主党が乱発している弾劾訴追のほとんどがこの程度のレベルだ。法律に従うように見せかけた暴力だ。