▲外国人俳優を雇って中東の王族になりすましていた中国のインフルエンサーたち。/抖音

 外国人の俳優を雇って中東の王族になりすまし、物品を販売していた中国のインフルエンサーらが、それまでの詐欺行為が発覚してSNS(交流サイト)のアカウントを削除されたことが分かった。インフルエンサーらは、「王室で使われている製品だ」とうそをついて低品質の品物を販売していたという。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが21日(現地時間)、報じた。

 報道によると、中国のSNSでは最近、中東の王子と結婚したという女性たちのアカウントが人気を集めていたという。

 中国版TikTokの『抖音(ドウイン)』で10万人のフォロワーを抱えるルォ・チャリン氏は「私の夫は裕福で影響力のあるサウジの一族の若い王子」「私は今妊娠4カ月を過ぎたところ」と明かしていた。

 ルォ氏は高級ヴィラ(低層集合住宅)の前でアラブ人のように見える男性と腕を組み「もうすぐ夫と一緒にサウジアラビアに移住する予定」とした上で「数億元(約数十億円)規模の資産の損害が出るけれど、ファンの皆さんのために物品を売却します」と発表した。

 さらに、ライブ配信で「フランス製の香水」や「英国王室の洗剤」と呼ばれる製品など、さまざまな物品を50元(約1000円)以下で販売した。

 多くの視聴者がこれを見て「王子とお姫様がなぜ高級な製品ではなく一般的な品物を売るのか」と尋ねたが、そのような質問を投げた人は配信から即座に閉め出された。

 また、別のインフルエンサーも中東の伝統衣装とスカーフを着用し、「ドバイの王子」だという男性と一緒に高級車に乗っている姿を公開した。

 このインフルエンサーは、夫と離婚して資産を清算するとしてライブ配信を実施。配信では300足のストッキングが6元で販売され、6.99元で販売した2キロ入りの英国製洗剤は1000件以上の注文が入った。

 これについて現地では、このインフルエンサーたちが外国人俳優を雇って中東の王子と姫になりすまし、低品質の製品を販売したと報じられた。その後、インフルエンサーたちのSNSアカウントは削除され、関連製品の販売は中断された。

 ドバイの中国コミュニティーは声明を発表し、アラブ諸国のいかなる王族も、中国でライブ配信による物品販売を許可したことはないと明らかにした。

 現時点で、インフルエンサーらに対する具体的な処罰があったかどうかは確認されていないが、中国のインターネット上では、インフルエンサーらの詐欺行為を批判する書き込みが相次いだ。

 中国版X(旧:ツイッター)の微博(ウェイボー)には「このインフルエンサーたちは、成功した裕福なエリートに対するファンの憧れと好奇心を悪用している」と指摘する声が上がった。また「うちの母親が、姫と呼ばれる人から30元の香水を購入したが、恐ろしいほど臭かった」「判断力の弱い中高年層を狙った詐欺」と書き込む人もいた。

 実際に中東の人と結婚したというインフルエンサーは「中東には、俗に言う裕福な財閥はそこまで多くない」「本当の貴族たちは静かに過ごしており、SNSでの活動もあまりしていない」と明かした。

キム・ジャア記者

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