▲国民の力の権性東院内代表(写真右)と共に民主党の朴賛大院内代表が17日、韓国国会の議長室で開かれた国会議長主催の両党院内代表会談の会場に入る様子。/写真=李徳勲(イ・ドクフン)記者

 保守系与党「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)院内代表が17日、空席となっている憲法裁判官3人を任命する問題を巡って「韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行の憲法裁判官任命は不可能だ」と述べた。行政府の所属ではない憲法裁判官の任命は大統領権限代行の権限を超えるもの、という主張だ。すると、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の朴賛大(パク・チャンデ)院内代表は「憲法裁判官の任命同意手続きを急いで進めるべき」と主張した。現在、憲裁は裁判官9人のうち3人が欠員の「6人体制」になっている。大統領弾劾は裁判官6人以上が賛成しなければ実現しない。

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領弾劾審判当時、黄教安(ファン・ギョアン)権限代行は退任した朴漢徹(パク・ハンチョル)裁判官の後任を任命しなかった。憲裁は大統領任命3人、大法院長(最高裁長官に相当)任命請求3人、国会推薦3人の計9人から成るが、朴裁判官は「大統領任命」ポストだったので、権限代行がその後任を任命するのは裁量の範囲外-という判断があったからだった。今回のケースは「国会推薦」ポストの3人を任命するというもの。国会推薦を受け入れるというレベルの行為であるだけに、権限代行でも任命はできるという見解が多数あることは確かだ。だが3人という数は、憲裁の憲法的決定を左右しかねないものなので、大統領権限代行の「現状維持」という次元を超える、という解釈もある。はっきりした法の規定はない状況だ。

 一方、朴槿恵大統領弾劾時に黄教安代行が憲法裁判官を任命した例もある。ただし、これは朴大統領が罷免された後のことなので弾劾審判とは無関係、かつ「大法院長推薦」の裁判官だった。当時は、似たようなことが繰り返されるとは予想し難く、この問題に関する法的解釈を確定させなかった。一度は整理すべき問題だ。

 大統領罷免裁判は、韓国国民が選挙で下した決定を変える、国家の重大事だ。理論上は裁判官6人でも結論は下せるというが、裁判の公正性や信頼性、憲法的正当性を確保しようと思ったら9人体制の回復は重要な問題だ。国民の力の「任命不可能」説は、弾劾裁判をできるだけ遅らせようとする計算だとみられる。「早く任命」せよという民主党側も責任は大きい。憲裁をまひさせようとして「6人体制」にしたのは民主党自身だ。

 韓権限代行の憲法裁判官任命権限について有権解釈を下せる国家機関は、事実上ないという。民主党がこの問題について憲裁に権限争議審判(公権力を行使する機関相互の権限の存否やその範囲についての争いを憲裁が審判する制度)や憲法訴願を行い、憲裁ができるだけ早く決定を下すことも一つの方法ではあり得る。大統領弾劾手続きや決定には、いかなる傷もあってはならない。

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