16日に韓東勲(ハン・ドンフン)代表が辞任したことで、保守系与党「国民の力」は非常対策委員会(非対委)体制を迎えることになった。国民の力が発足してから6回目、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権になってから5回目の非対委体制だ。国民の力ではこれまで、尹大統領の与党掌握力拡大という次元で非対委が繰り返されてきた。ところが尹大統領が国会で弾劾訴追を受けたことで、またも非対委が始まることになったのだ。国民の力の新たな非対委は、権性東(クォン・ソンドン)院内代表を主軸とする「弾劾反対派」が中心となって再編するものとみられる。

 韓代表は16日、韓国国会で記者会見を開いて「最高委員の辞任で最高委員会が崩壊し、もはや党代表として正常な任務遂行は不可能になった」と述べ、辞意を表明した。今年7月に国民の力の全党大会において62.8%の得票率で党代表に選出されてから、わずか146日での辞任だ。韓代表の辞任は、12・3非常戒厳事態に触発された尹大統領弾劾訴追案の可決が決定的だった。韓代表は、尹大統領に対する2回目の弾劾訴追案の票決(今月14日)を前に、「弾劾反対」の党論を「賛成」に変更しようと主張した。その後、本会議の票決で国民の力から「賛成」の離反票が少なくとも12票出て弾劾訴追案は可決され、韓代表の責任論が持ち上がった。5人の選出職最高委員が全員辞任し、最高委員会が自動解散することになったのだ。

 韓代表は、弾劾賛成の立場を表明したことと関連して「心を痛めたわれわれの支持者の方々のことを考えると非常に苦しいが、依然として後悔はしていない」「私はどんなことがあろうと、韓国と主権者国民を裏切らないと決心したから」と語った。その上で「国民の力は(非常戒厳が宣布された)3日の夜、わが党が送り出した大統領の不法戒厳を防いだ」とし「それが本当の保守の精神」と述べた。さらに韓代表は「われわれが不正選挙陰謀論者、極端なユーチューバーといった極端主義者らに同調したり、彼らが商業的に生産する恐怖に蚕食されたりしたら、保守の未来はないだろう」としつつ「国が良くなったらうれしい」と語った。

 この日の韓代表の辞任会見には、数十人の支持者が集まった。会見場を離れた韓代表は、支持者らに「私を守ろうとして乗り出さないでほしい。私が皆さんを守りたい」と語りかけた。さらに「戒厳が誤りだからといって、民主党と李在明(イ・ジェミョン)代表の暴走、犯罪容疑が正当化されるわけでは絶対にない」「裁判のタイマーは止まることなく進んでいる」と発言した。

 これで国民の力は、2020年9月の発足以来6回目の非対委を迎えることになった。新たな非対委員長は、党代表権限代行を務めることになった権性東院内代表が任命する。権院内代表は親尹(尹大統領に近い)系の座長に挙げられてきた人物で、尹大統領弾劾訴追案にも反対してきた。14日の弾劾案票決で反対票は85票だった。それだけに、新非対委は弾劾反対派の人物が中心になって立ち上げられる見込みだ。

キム・ヒョンウォン記者

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